<体操>リオ五輪で金なるか? 白井の床
絶対エース・内村航平(コナミスポーツクラブ)が前人未踏の大会8連覇を達成した体操の全日本個人総合選手権(4月24~26日、東京・代々木体育館)で、個人総合としては11位という目立たぬ成績でありながら、来年8月のリオデジャネイロ五輪での種目別ゆか金メダル獲得に向け、着実に前進していることを示したのが、白井健三(日体大)だった。 ゆかは13年の世界選手権で種目別金メダルを獲得したものの、昨年の同大会では銀メダルと悔しさを味わった種目だ。今春、日体大に進学した18歳は、今大会でどのような成長を見せ、リオへの道を示したのか。 6種目の総合得点で争われる個人総合では、得意種目だけに力を注ぐというわけにはいかない。全体の点を整えるには得意種目よりもむしろ不得意種目で力を使うことにもなりがちだ。 その点で、今大会の白井のゆかの演技は2回とも意義深いものだった。まずは初日の予選。大学生初戦となった試合で、白井は技の構成難度を示すD得点7.6という、世界のライバルたちが誰も実施できない最高難度の演技に挑んだ。 そもそもD得点7.6の演技は、種目別決勝で演じるレベルの構成。6種目すべてをこなす個人総合という大会であることを考れば、スタミナ面が気がかりの一つだった。 けれども白井は安定感のある演技を披露した。2つ目のシリーズでは、昨年11月のスイス杯から披露している縦回転系の「リ・ジョンソン(後方抱え込み2回宙返り3回ひねり)=G難度」を雄大な高さで成功させ、最後の「シライ/ニュエン(後方伸身宙返り4回ひねり)=F難度」でも、ピタリと止まりはしなかったものの、まずまずの着地を見せた。 得点は15.900で、もちろんこの種目のトップ。白井は「順位や点数はあまり気にしないでやっていたが、それなりに評価してもらえていることは自信になる」と満足そうに言った。 決勝が行われた最終日は、最後の6種目めの演技がゆかだった。疲労はピークに達しているはず。その中でこの日は、別の意味での強さを見せた。 演技構成の難度を示すD得点は7.4と、予選より0.2下がったものの、演技の出来映えが良かったことで得点そのものは16.150。予選よりもさらに伸ばしたのだ。