干し芋残渣削減へ 茨城大とユーエム連携 農家調査、商品開発も イメージ転換「好評」 茨城
茨城大学有志と機械工具総合商社ユーエム(茨城県東海村)などによる「干し芋残渣(ざんさ)削減プロジェクト(HZP)」が、干し芋加工の過程で捨てられる未利用部分の活用を模索している。農家への調査を実施し、課題や意見を吸い上げるほか、未利用部分を使った商品も開発。ポリフェノールや食物繊維が豊富な〝食材〟を商材に変えるため、産学連携で取り組む。 干し芋は茨城県を代表する特産物の一つだが、ふかしたサツマイモの皮をむく工程で約4割が捨てられる。畑の肥料にされるが、食用にしているのは少数。放置された残りかすから悪臭や害虫が発生し、環境面での問題になっている。 HZPはまず、同県内の東海、ひたちなか、那珂の3市村の干し芋農家200軒に調査を行った。未利用部分の削減について「工夫は特にしていない」と答えたのは70%に上った一方、活用について「課題を感じていない」と答えたのはわずか4.5%だった。ほとんどの農家が課題を抱えている現状が浮き彫りになった。 未利用部分とはいえ、ポリフェノールや食物繊維が豊富で、糖度50~60度と甘い。衛生面に注意すれば食品に利用できる。ただ同大教育学部の石島恵美子教授は「農家さんは捨てていた未利用部分を食べることに抵抗がある」と指摘する。 HZPはごみのイメージがある未利用部分を「はしっぽ」と命名。イメージの転換を図った。 その上で、同社が良質なものだけをペースト状に加工。和菓子店などと共同でペーストを使って菓子や食品を商品化した。 これまでに、ソーセージ(いくとせ、つくばみらい市)▽アイスクリーム(小美玉ふるさと食品公社、小美玉市)▽かりんとう(コルカリーノ、牛久市)▽春巻き(キッチンKai、東海村)▽かりんとうまんじゅう(丸三老舗、鹿嶋市)▽スイートポテト(同)▽生ドーナツ(一門、水戸市)-などが作られ、全て販売されている。 HZPは2月20日、県庁で活動報告会を開き、試食会も行った。いずれも各店の工夫で特色ある味と食感、見た目に仕上げ、出席者の好評を得た。商品化では開発中のものもあり、今後も広がりを後押ししていく予定。
茨城新聞社