大麻由来の合法成分「CBD」専門店 摘発直前の映像 “隠語”飛び交う店内 「立って歩けない感じに」 別の違法薬物を販売したとして摘発 東京・渋谷
TBS NEWS DIG Powered by JNN
大麻由来の合法成分=「CBD」を扱う店が増える中、東京・渋谷の専門店が別の違法薬物を販売したとして摘発されました。摘発直前の映像からは「隠語」が飛び交う店内の様子が浮かび上がります。 東京・渋谷の繁華街。その一角で一際にぎわうのが「日本最大級のCBDショップ」をうたう専門店「GRAY TATTOO」です。 CBD=「カンナビジオール」とは、大麻草から抽出された合法成分。 店員 「このクッキーは、本当にぶりぶりになります。半分だとちょっと眠たくなっちゃうかもしれないですね。『眠りのカンナビノイド』って言われているんですけど、半分とか1枚いっちゃうのがオススメ」 これは店員いわく、通称「眠りのカンナビノイド」入りのクッキー。さらに、店員がスマホを差し出すと… 店員 「お店の中で『手押し』」 「手押し」とは、“商品を手渡しする”という意味の隠語です。さらにスマホ画面には、含有成分を示す隠語が並びます。 記者 「『IS』は何ですか?」 店員 「1(ワン)・S(エス)。1SはLSDですね」 違法な合成麻薬「LSD」に似せた合成化合物のことでしょうか。ほかの商品について尋ねると。 記者 「一応、大丈夫?」 店員 「大丈夫ですね。全然大丈夫なやつです。結構効きますよ。頭の前の方が『ぱーん』となって」 この店がきのう、摘発されたのです。 記者 「警視庁の捜査員が渋谷のCBDショップに家宅捜索に入りました」 麻薬取締法違反の疑いで、社長の長谷川継之介容疑者(29)が逮捕されました。麻薬である「Δ8ーTHC」を含む植物片のようなものを「合法」と言って、客に販売した疑いがもたれています。 119番通報 「呼吸が荒い女性がいる」 警視庁によりますと、今年5月ごろから、この店の商品を使った客が相次いで幻覚などを訴え、救急搬送されたケースも11件あったといいます。 当時、搬送された女性(30代)に話を聞くことができました。 搬送された女性 「その時に使ったのは『リキッド』っていうもので、液体が入っているんですけど…」 女性は10月、この店で吸引するタイプの商品を試したところ、急に体調が悪くなったと言います。 搬送された女性 「なんか立って歩けない感じになってしまって、過呼吸みたいになってしまって。このままでは家に帰れなそうだなと思って。吸うときに(店員が)『1回だけ吸えば十分だよ』と言っていたのを長く吸いすぎてしまって、多分たくさん(成分が)体に入ったのだと」 「リラックス効果のある商品」を求めて、店に入ったという女性。 実はいま、大麻由来の「CBD」を含む商品を扱う店は増えています。 記者 「こちらの店にも『CBD』と書かれた看板が出ています」 若者の街・渋谷にも軒を連ねています。 専門家は「CBD」自体は合法としたうえで、商品によっては違法成分が含まれているものもあるとして、警鐘を鳴らします。 湘南医療大学薬学部 舩田正彦 教授 「CBD製品と標榜していても、実際にCBDがどのくらい含まれているのか、さらには(違法な)THCが含まれていないのか、不純物はないのか。これがなかなか現時点では判断しにくい」 厚生労働省によりますと、去年1年間に大麻所持などによって検挙された人数は6703人と過去最多。こうした中、今月12日の法改正で大麻を「麻薬」と位置づけ、所持・譲渡などだけでなく「使用」についても禁止に。違反した場合は7年以下の懲役となります。 警視庁は長谷川容疑者の認否を明らかにしていませんが、クッキーなど押収した商品に違法成分が入っていないか、調べを進めています。
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