年末調整、記入をミスしてしまいました…。ペナルティは何かあるのでしょうか?
会社員(給与所得者)のほぼ全員、年末調整を行います。勤務先へ「給与所得者の基礎控除申告書 兼給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」を提出します(住宅ローン控除2年目以降の方は、「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等告別控除計算明細書」も提出します)。 扶養家族に異動があれば、本年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。その後、来年1月の給与を受け取る前に、来年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して終了です。 ところで、年末調整後に書類の記入漏れや記入間違いに気づいたとき、訂正することはできるのでしょうか。また、記入ミスや漏れがあった際に何かペナルティがあるのでしょうか。
年末調整の再計算か確定申告で
会社員が受け取る給与や賞与からは、所得税が源泉徴収されています。年末調整は、給与所得者の1年間の年税額を算出し、源泉徴収された所得税額の総額を年税額に一致させるものです。源泉徴収税額の総額が年税額を超えている分は還付され、不足する分は年内最後の給与または賞与より徴収されます。 会社は、年末調整後1月末までに、源泉徴収票等や支払調書を受給者と税務署に、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を税務署に提出し、給与の支払い報告書を市区町村に提出しなければなりません(所得税法226条、地方税法317条)。 よって、年末調整後に申告書の記入事項を訂正したい場合、源泉徴収票を受け取る前であれば、会社に年末調整の再調整を申し出ます。確定申告でも年末調整の誤りを訂正できます。従業員は、年末調整で間違えてしまっても、再調整の他、その年分の確定申告期限までに正しく申告・納税できれば、ペナルティはありません。
控除対象扶養親族の収入を確認しておく
控除対象扶養親族の収入を、年末調整前に確認しておきましょう。扶養親族の収入要件は、年間の所得金額が48万円(給与収入のみでは103万円)以下です。 例えば、控除対象扶養親族であった子(学生)のアルバイト収入が120万円となる場合、103万円を超えるため、親の控除対象扶養親族から外れます(勤労学生控除27万円は、子の所得税・住民税を計算する際に使用します)。 扶養親族や控除対象配偶者を判定する所得に、非課税所得は含まれません(ただし、健康保険の扶養認定については、非課税収入も収入とされることに注意しましょう)。 非課税所得には、遺族年金や障害年金(厚生年金、国民年金)、傷病手当金、失業保険、育児休業手当金等があります。もし、遺族年金を受けつつ給与収入もある場合、給与収入だけの所得で判定します(健康保険の扶養認定は、合算して130万円未満、60歳以上はまたは障害者は180万円未満であること)。 また、別居していても、親族に生活費や療養費等を常日頃から送金していて、生計を一にしている状態であれば、扶養控除の対象にできます。 控除対象扶養親族かどうかの判定は、その年の12月31日時点の状況で判断されます。よって、会社に年末調整の書類を提出した後でも、12月31日までに扶養家族の増減があった場合は、会社にその年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出し、年末調整の再調整をしてもらいましょう。