日本で一番カッコいいトイレ清掃員を目指して……「どんな仕事もやりようによって、楽しく出来るんです!」
日々のトイレ清掃を通じて、大井さんは公共トイレが汚れる原因を突き止めていきます。例えば、男性用トイレの場合、それは便器ではなく、手を洗う洗面台にありました。世の中には一定数、ハンカチを持っていない人がいます。その人が洗面台の前の床で、洗った手をパタパタ降ると、水滴がトイレの床に落ちます。すると、次に入る人は、水滴を踏んで小便器の前に立つため、便器の下の床が濡れます。 その次は、便器前の濡れた床を、誰かが汚したと勘違いして、便器から離れて立ちます。これが繰り返されることで、小用の飛沫が便器の外へも付着してしまって、トイレの嫌なニオイが生まれてしまうことが分かっていきました。 『床を制する者が、トイレを制す!』 そう確信した大井さんは、チーム全体でトイレの床の清掃を徹底していきます。便器も一つ一つ真剣に、手作業でピカピカになるまで磨きました。床磨きが終わる頃には、もうヘトヘトでトイレの床にへたり込んでしまうほどでした。そんなワンシーンをメディアのカメラマンに撮られると、こんな見出しが躍りました。 『寝そべっても平気なトイレ』 いまでは、カッコいいユニフォームを着た「OPT」のメンバーがやってくると、子供達が駆け寄ってくるようになり、観光客の方も話しかけてくれるようになりました。地元だけでなく、インターネットで「OPT」の活躍を知った大阪・高槻の小学生たちは、「僕たちもオピトみたいに、カッコよくなりたい!」と言ってくれたといいます。
そして何より、「OPT」の皆さんの手できれいになった奥多摩の公共トイレは、利用者の皆さんが、きれいに使ってくれるようになりました。 「みんなと一緒に協力しながらきれいな公共のトイレを作るって、本当に楽しいです! どんな仕事もやりようによって、楽しく出来るんです!」 そう力強く話す大井さんの顔には、満面の笑みが溢れています。