藤井聡太、八冠から陥落 偉業達成から254日目で伊藤匠七段に敗れる、タイトル戦連覇も22期でストップ【第9期叡王戦・第5局】
将棋の第9期叡王戦5番勝負第5局は20日、甲府市の常磐ホテルで指され、藤井聡太叡王(21)=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖との八冠=が挑戦者・伊藤匠七段(21)に156手で敗れ、自身の持つタイトル戦連覇記録が22期でストップ、昨年10月11日に王座を獲得して全八冠達成以来、254日目(八冠達成日と失冠日を含む)にして七冠へ後退した。伊藤七段は3度目のタイトル挑戦で初の獲得となった。 振り駒で先手となった藤井叡王の誘導に伊藤七段も応じて10、11手目で角を交換する両者得意な角換わりの戦型になった。藤井叡王が9筋の香車を1段上がって、玉がその下に潜り込む穴熊の堅陣を目指したのに対し、伊藤七段は金銀4枚を横に連結良く配置して自陣の広さを主張と序盤は速いテンポで駒組みが続いた。 しかし、後手が58手目に4筋の敵陣深くへ角を打ち込むと、昼食前から決戦もよう。仕掛けた伊藤七段のほうが時間を使う展開となり、再びの角交換から、先手が6筋で銀を相手の歩の前に差し出して取らせた78手目までの時点では消費が藤井叡王1時間12分、伊藤七段2時間52分と1時間40分もの差がついていた。 藤井叡王はこの差を生かし、終盤は時間をかけて猛攻を開始。自陣の堅さも利用して91手目に飛車を切ると、相手玉の上部脱出を防ぐ4筋への銀打ちなど盤面を広く使った攻撃でリードを広げた。しかし、伊藤七段も王手飛車取りをかけられながらも自陣を再整備してから反撃を試み、一瞬の隙を突いて形勢を逆転。最後は正確な差し手を繰り返して押し切った。 同学年タイトル戦3度目の対決となった本棋戦。1度目の竜王戦、2度目の棋王戦では1勝もできなかった伊藤七段。1敗で迎えた第2局で対藤井初勝利を飾ると第3局も連勝で、藤井叡王から初めて先にタイトル戦王手をかけた。第4局は敗れてフルセットとなったが、最後は粘り勝った。両者の公式戦対局は藤井叡王の12勝3敗1持将棋(引き分け)となった。
中日スポーツ