焼け跡そのまま胸痛む 地震半年、それぞれの「早く」「長い」時間
能登半島地震の発生から1日で半年を迎えた。元日の大規模火災で焼失した石川県輪島市の輪島朝市では、亡くなった人たちに手を合わせる人の姿も見られた。 【写真】能登半島地震が発生した時間に黙禱(もくとう)する輪島市朝市組合の関係者ら=2024年7月1日午後4時10分、石川県輪島市、林敏行撮影 同県中能登町在住でシンガー・ソングライターの今町衣里さん(33)は、市内二つの避難所を慰問して歌う前に、輪島朝市を訪れた。「この半年は早かった。今も焼け跡がそのまま残っていて胸が痛みます」と涙を見せた。 自身の自宅も全壊し、今は敷地内の倉庫で暮らしている。「多くの支援や給水を頂いた。一人では生きていけなかったが、手を取り合いながら半年を過ごして今がある。一緒に頑張っていこうというメッセージを届けたい」と話した。 午後4時10分、最大震度7の地震発生時刻には、輪島市朝市組合の関係者12人が、焼け跡に向かって黙禱(もくとう)を捧げた。副組合長の関山俊昭さん(73)は、「この半年は長かった。ここはまだ復旧作業中ですから。東日本や熊本など前の震災に比べると、復旧にかかる時間が長いと思う」。冨水長毅組合長(55)は「朝市通りでの朝市復活を目標に、各地での出張営業も頑張りたい」と話した。 輪島朝市では6月4日から公費解体が始まり、焼損した建物の撤去作業が続いている。この日も重機でがれきを崩したり、トラックに積み込んだりする音が、周辺に響いていた。周辺では倒壊家屋の解体工事も始まり、仮設住宅で新たな生活を始めた人たちもいる。(林敏行)
朝日新聞社