ネスレ「キットカット」で東京・小笠原諸島産カカオ豆を使った商品を数量限定発売するねらいは?
ネスレ日本は11月20日、外国産カカオ豆に東京・小笠原諸島産カカオ豆を加えて原料に使用した「キットカット ミニ 東京カカオ」を数量限定で発売開始した。 小笠原諸島産カカオ豆は、小笠原諸島母島にある農園で4人の生産者によって栽培されたもの。チョコレートに加工されると一般的なカカオ豆と比べて酸味のあるフルーティーなテイストを力強く感じられるのが特徴だという。 栽培の旗振り役は平塚製菓(埼玉県草加市)。 平塚製菓は2006年に東京カカオプロジェクトを立ち上げ、協力農家を探し出すところから開始して、10年に生カカオの輸入許可を取得し11年に折田農園と栽培契約を締結。13年に国産カカオの初収穫に成功し、19年には小笠原諸島産カカオ豆のみを使用したチョコレートの発売へと漕ぎ着けた。 この取り組みに着目したネスレ日本が平塚製菓に依頼して22年10月に「キットカット 東京カカオ」が誕生した。 今回の「キットカット ミニ 東京カカオ」は「キットカット 東京カカオ」での取り組みに販路を拡大するなどして磨きをかけたものとなる。 生活者へのチョコレート製造過程の興味喚起と「キットカット」ブランドの価値向上がネスレ日本の狙い。
ブランド価値向上について、20日発表会に臨んだネスレ日本のオリヴィエ・ジャクー常務執行役員コンフェクショナリー事業本部長は「『キットカット』の3つの活動の柱であるブレイク(休憩)・コミュニティ・環境にそれぞれ貢献する」と語る。 この中で環境については「外国産カカオを日本に輸送することで環境負荷がかかっている」と述べ、小笠原産カカオをカカオマス中29%使用することで輸送距離・CO2排出削減効果を見込む。 平塚製菓もコミュニティへの貢献を志向する。 平塚製菓の平塚正幸社長は「母島には観光資源があまりなく、カカオ農園が観光の一助になれればいい」と語る。