ロシア国防次官を収賄容疑で逮捕 ショイグ国防相の右腕、エリート層の抗争激化か
モスクワの裁判所内で24日、ガラス張りの被告人席に立っているのは、ロシアのイワノフ国防次官だ。この前日、同次官は収賄容疑で勤務中に逮捕された。 裁判所はイワノフ次官が第三者と共謀し、国防省が発注した契約で多額の賄賂を受け取っていたと指摘。その上で同次官を2カ月間勾留するよう命じた。2016年から現職を務めるイワノフ次官は、国防省で不動産管理、官舎、建設などを担当していた。ウクライナ侵攻以来、ロシア国防省の支出は急増していた。次官の逮捕について同省はコメントしていない。 ショイグ国防相の右腕とされるイワノフ次官の逮捕は、ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以来、最も注目を集める汚職事件となった。大統領府によると、プーチン大統領とショイグ国防相は事前に逮捕を知らされていた。イワノフ次官は23日に開かれた、国防省幹部の会議に出席していた。 今回の事案は、ソ連崩壊後のロシア軍を悩ませてきた腐敗を取り締まるべくエリート層内部の権力抗争が激しさを増しているとの憶測を招いている。ロシアのコメルサント紙によると、イワノフ氏はKGBの後継組織である連邦保安庁(FSB)に逮捕された。プーチン大統領は先月、軍の調達における汚職を根絶するようFSBに指示していたという。 またイワノフ次官は、派手な暮らしぶりが指摘され、以前から調査報道の対象となっていた。ロシアの軍事ブロガーたちは、ウクライナ全面侵攻後の数日で過度に拡大したために一部地域から慌てて撤退したことを受けて、軍や国防省幹部の汚職や無能ぶりを非難している。 イワノフ次官は有罪となれば15年の禁錮刑が科される可能性がある。