【競馬予想】秋華賞は上位人気馬に隙がないものの、元ジョッキーは「前残り」への注意を促す
――オークス組で、ほかに注目すべき馬はいますか。 大西 GIIローズS(9月15日/中京・芝2000m)を完勝したクイーンズウォーク(牝3歳)は要注目です。春には見られた気性の荒さが夏を越して解消され、レースでも折り合いがついて直線の伸び脚が抜群でした。 京都の内回りは直線が短いため、いかに早い段階で好位置を取ってレースを運ぶかがカギになりますが、クイーンズウォークの瞬発力が生きる展開になれば、「2強」に割って入る可能性は大いにあります。 ――オークス上位の有力馬たちには隙がないような感じですが、もし波乱が起こるとしたら、どんな展開が考えられますか。 大西 京都の内回り・芝2000mは、直線が短く、先行馬が有利になることが多いです。もし上位人気馬が後方で牽制し合う展開になれば、前にいる馬がそのまま残る、ということが考えられます。 僕自身、2003年の秋華賞で人気薄のマイネサマンサに騎乗。強気に逃げる競馬で僅差の5着に食い込みました。結局、人気のスティルインラブが三冠を達成しましたが、同馬を慌てさせることができたのは、内回りコースをうまく生かしたからこその結果だと考えています。 その経験からも、この舞台では常に逃げ・先行馬には注意が必要だと思っています。 ――今年、逃げ・先行馬で気になる"穴馬"はいますか。 大西 今年のレースでは、セキトバイースト(牝3歳)が逃げて、クリスマスパレード(牝3歳)やコガネノソラ(牝3歳)らがそのあとに続く隊列を想定しています。この3頭が先行するなら、ハイペースになることは考えにくく、淡々とした流れになれば、前残りも十分に考えられます。
なかでも注目しているのは、コガネノソラです。小回り向きの機動力があり、立ち回りが非常に上手な馬。前走のGIIIクイーンS(7月28日/札幌・芝1800m)では斤量51kgという軽量を生かせたのもありますが、古馬の重賞馬たちを抑えての勝利は評価に値します。成長力を示した、と言ってもいいでしょう。 また、鞍上の丹内祐次騎手は今年、キャリアハイと言える勢いで勝ち星を重ねています。21年目のベテランにしてこれまでにGI勝ちはありませんが、今回はGI初制覇のチャンスがあると思います。モチベーションは相当高いはずです。 彼はここまで大きなケガなどによって長期離脱することなく、コンスタントに多くの騎乗をこなしてきた努力家。同期の津村明秀騎手がこの春、悲願のGI初制覇(ヴィクトリアマイルのテンハッピーローズ)を収めたばかり。「今度は自分だ」という意識が強いのではないでしょうか。 そんな鞍上の勝負気配も含めて、秋華賞の「ヒモ穴」にはコガネノソラを指名したいと思います。
武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku