安田章大の歌声に刻まれた重みと深み「今の人生はボーナスライフ」命に関わる出来事など経て達観
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> SUPER EIGHT安田章大(39)の口調は穏やかだが、不思議な重みがある。歌声も同様だ。事務所入りから27年、デビューして20年の経験ももちろん背景にあるが、さらに「命」に関わる2つの大きな体験が“乗っかって”いるのだろう。 上演中の主演舞台「あのよこのよ」(東京・渋谷PARCO劇場ほか)のインタビューの際、「今の人生はボーナスライフだと思っているんです」と話していた。決して大げさな話ではない。17年に髄膜腫を患い、良性の脳腫瘍の摘出手術を経験。頭痛や吐き気を催す光過敏の後遺症が残り、サングラスが手放せない生活を送っている。 さらに18年には脳にダメージを受けたことによる「術後てんかん」の発作を入浴中に発症し、背骨と腰骨を骨折。湯船に顔をつけたまま気絶したが、異変に気付いた友人に助けられた。「手術の時もそうですし、てんかんの時はたまたま友人がいなかったら死んでましたからね」と振り返った。 もともと歌唱力に定評があり、グループのライブではメインボーカルを任されることも多い。作詞・作曲を手がけることもあれば、「俺節」(17年)など歌をテーマにした舞台作品に主演することもある。ただ、近年は歌声に「ただうまいうまい」だけではない重みが増しているように感じた。本人に尋ねると、「時間がたつというのは、深さを増してくれるんだなって本当に思います」とほほ笑んでいた。 97年に現在のSMILE-UP.に入所。04年に関ジャニ∞(現SUPER EIGHT)としてCDデビューし、今年25周年となる。今年はグループ改名や、新会社STARTO ENTERTAINMENTへの移籍も経験した。「誰かのために仕事をできるって、こんなに幸せなことってないなって思ってて。自分のために仕事するっていうのはもう頭打ちなんですよ、きっと」。達観している。 「誰かのために仕事しているので。それは応援してくださっている方もしかり、自分と同じような病気で戦っている方もしかり、生きていくのがしんどいって言っている方のためだったり」と続け、「もう自分自身がそこにいるので、日々何もしんどくなければ、ストレスもいです。体は疲弊していますけど、心は疲れ知らずになっちゃったんですよね」と笑った。 主演舞台にライブ、バラエティー番組出演や楽曲製作などなど、スケジュールは常にハードなはず。まずは体調第一を願うばかりだが、深みも重みも増した歌声により耳を傾けていきたい。【横山慧】