韓国“ギョーザの聖地”イベントに55万人 肉一切入れない「世界最高のギョーザ」が人気
韓国中部にある江原道原州(ウォンジュ)市で10月下旬、全国で唯一の「ギョーザ祭り」が開かれ、3日間で約55万人の人出でにぎわった。昨年に続き今年で2回目。イベント通りには約60の屋台が並び、名物のキムチギョーザのほか、世界各国の個性的なギョーザが集結した。朝鮮戦争後、故郷を離れた避難民たちが駐留米軍の小麦粉を譲り受けて始めたギョーザ作りが、伝統市場に新たな魅力をもたらしている。(原州市で、山口卓) 【動画】激しく踊りながらギョーザを作る男性 見入る観客 ジューという音とともに湯気が立ち上る。「名物のキジ肉」「具材を丸めた皮なし」「リンゴ入り」「日本式の焼き」など、100種類以上あるという工夫を凝らしたオリジナルギョーザに多くの人が行列を作っていた。 約520メートルの通りはギョーザを買い求める人で混み合い、テーブルでは家族連れなどがお気に入りのギョーザを頰張っている。手作り体験や早食い大会などのイベントも開かれ、会場のあちこちで笑い声が響いていた。 江原道束草(ソクチョ)市から夫と子どもと一緒に訪れたイ・ミンジョンさん(40)は「インターネットで祭りを知って、おいしそうで食べたくなって家族で来た。すごい人気で驚いた」と話した。 スープギョーザを食べてみると、軟らかい肉に新鮮な野菜の歯応えが心地よい。肉のうまみが染み出したスープにキムチを交ぜて食べると、箸が止まらなくなった。 最も人気を集めていたのは、原州名物のキムチギョーザ。原州で取れる上質な白菜で作ったキムチを使い、肉を一切入れないのが特徴だ。米CNNは今年3月の旅行の特集記事で、キムチギョーザを「世界最高のギョーザ」の一つとして紹介している。 原州が「ギョーザの聖地」となったのは、朝鮮戦争が関係している。 戦後に避難してきた人たちが、白菜と駐留米軍から譲り受けた小麦粉を使って作り始めたのがルーツだという。伝統市場には多くのギョーザ店が軒を連ね、キムチギョーザをカルグクス(韓国式うどん)に入れて煮込んだ「カルマン」は、原州から全国に広がって名物料理となった。 祭りを主催する原州市は「ギョーザは原州の大切な資産になった。ギョーザ祭りの発展を街の再生につなげたい」と語った。 市内には日本の建築家、安藤忠雄氏が設計して2013年に開館した「ミュージアムSAN」があり、年間数十万人が訪れているという。山岳観光団地「小金山グランドバレー」では絶景のつり橋も体験できる。ソウル駅から原州駅までは高速鉄道KTXで50分程度。日帰りツアーとしても人気が高まっている。