専門家が解説!ヘトヘトに疲れてるのに「なぜか眠れない人」が知っておきたいこと
病院に行くほどではないけれど、なんだか感じる体の不調。薬剤師であり調理師、薬膳アドバイザーの資格も持つ道川佳苗さんと、中医学の視点で体を見つめ直し、健やかな暮らしをつくるための「食」を考えましょう。 ◇ ◇ ◇
このようなお悩みをいただきました。55歳女性からのお悩みです。 「頭に膜が張っているような感じで、スッキリしない。思考力の低下(考えや言葉選びができない、及ばない)体力の低下(生活する中で色々と段取りができない。)何をするにも億劫、意欲がない。(何が食べたい、どこに行きたいもない。お風呂に入れない。)仕事は週5でしている。帰宅後、疲れ切っているのでしばらく動けない状態だが、いざ布団に入ると寝付き悪く朝までに何度も目覚める。肩こりひどい。目が常に充血している。」 50代は更年期を迎える時期でもあり、ホルモンバランスの変化などで体調が不安定になることがあります。また、2月は1年で最も寒い季節であり、立春を過ぎたころから気温差が激しい日もあります。この時期は自律神経のバランスが乱れやすくなるため注意が必要です。 こうした状況を考慮して、中医学の知恵を活用して体調を整えていきましょう。今回は、寒い時期の不調を乗り越えるための工夫や更年期世代の不調改善に役立つ食材をご紹介します。
疲れているのに寝付きが悪いのは何が原因?
中医学的には、以下の原因が考えられます。 (1)更年期による気や血の不足・巡りの悪さ 女性は45歳から55歳頃に閉経を迎えることが多く、更年期を迎えます。この時期、女性ホルモンの急激な減少により不調を感じやすくなります。中医学では、更年期は気や血が不足し、それに伴い体内の巡りも悪くなると考えられています。その結果、疲れやすくなる、眠りが浅くなる、冷えを感じやすくなる、肩こりを感じるなどの不調が現れやすくなります。 気や血の不足は食事や生活習慣で補うことができます。生活習慣では、胃腸を冷やさないように温かいものを飲食する、睡眠時間を確保するなどを心がけるようにしましょう。さらに、朝の光を浴びることで体内時計が毎朝リセットされ、睡眠の質も高まります。 (2)肝の弱りによる目の充血、肩こり、寝付きの悪さ 中医学では五臓という概念があり、「肝」はその中でも特に「目」と関連が深いとされています。肝が弱ると目の充血やショボショボ感、目の痙攣などの不調が現れやすくなります。また、肝が弱ると全身の気や血の巡りが悪くなり、肩こりやイライラなどの症状も現れることがあります。さらに、肝は血を貯める働きもあり、血が不足すると睡眠にも影響を及ぼすと考えられています。血が不足することで不安が生じ、寝付きが悪くなったり途中で何度も起きたりする状態を引き起こすことがあります。 生活習慣では、肝の血を貯める働きを助けるために、午前11時には眠るように心がけたり、朝にゆっくりと散歩して気の巡りを良くしたり、寝る前の運動や口論は避けるようにしたりすることが重要です。