SuU自主企画『骨-日-』開催間近、すずきたくまインタビュー「ものすごくいい音楽を作る人たちなので、ツーマンでお互い違う角度からいいものを見せたい」
――でも音楽性的にはだいぶ違うじゃないですか。逆にたくまさんがいわゆるバンドとかロックではないところに今来ているというのはどういうことなんだと思います? すずき 慎ちゃんがやってることを俺がそのままやっても慎ちゃんには勝てないんですよ。彼の良さは簡単に言うと「歌が上手い」とか「めちゃくちゃいい歌詞書く」とか「いいメロディ作る」とかで、正面からそこでぶつかっていっても絶対勝てないんで。なので俺は俺で俺にしかできないことをやろうと思って進んでいったら、なんかひねくれた音というか、暗い音になった(笑)。 ――いや、音自体はすごく温かい、アナログな手触りじゃないですか。優しい音だと思うんですけど、じゃあそこで何を歌っているのかなとよくよく耳を凝らしていくと、生きづらさを感じていたり、閉塞感があったりするっていう。 すずき 根が暗いんですかね。 ――それは分からないけど、そういうところはそれこそ時速36kmとも通じる部分があるし。 すずき うん、あると思います。慎ちゃんも根が暗いのかな。こういうこと言っちゃよくないけど(笑)。なんか、ずっとイラついてるんだと思いますね。俺もずっとイラついてますし、慎ちゃんもずっとイライラしてるんじゃないかな。だけどそういうのをまったく表に出さないというか、普通に喋っててもすごい気持ちのいい人だし、めちゃくちゃ優しいですね。慎ちゃんって、絶対人のことをけなさないんです。だけどたぶん裏ではめちゃくちゃイライラしてて、それを曲に全部ぶつけてるんじゃないかな。ほんと勝手な想像ですけど、そういう部分が俺は愛おしいですね。 ――時速との付き合いは長いですか? すずき SuUをやる前に僕は違うバンドをやっていて、そのバンドで時速と1回対バンしてるんですよね。時速もまだ3ピースとかのときで、客もゼロだったのかな。もう演者しかいない、みたいな。俺が21歳とかで、慎ちゃんが22とかかな。お互いトゲトゲしていて、楽屋でも一言も話さなくて。「なんだよ、時速36kmって」みたいな。向こうも同じように思ってたと思います。そんな感じで1回共演はしてますけど、そのときはまったく会話もしなかった。今になって「そういえば対バンしてたんだよね」みたいな話をすると「ああ、分かる、分かる」みたいな。「あのときは俺たちは暗黒時代だった、思い出したくない」って言ってました(笑)。 ――そこからどうやって仲良くなったんですか? すずき 仲良くなったきっかけは、いつだか忘れたんですけど、CRYAMYのカワノと遊ぶようになってからだと思います。カワノが紹介してくれたんじゃないけど、ライブの打ち上げで飲んでるときとかに、俺がいて、カワノがいて、慎ちゃんもいて。そこで繋いでくれたんじゃないかな。記憶が曖昧なんですけど。バンド周りの友達って、結構カワノに紹介してもらってるんで。 ――それっていつ頃? すずき 2、3年くらいじゃないですかね、めちゃくちゃ仲良くなってから。そこから弾き語りでちょいちょい同じイベント出るようになったりとかして。でも俺は最初に対バンしたときから時速のことは気にかけていました。ずっと続けていてすごいなって、ずっと劣等感を抱いていましたね。 ――最近の時速についてはどういうふうに見てます? すずき うーん、「もっといってくれ!」というか。なんか、マンガでいうと『ジャンプ』じゃないですか。 ――ああ、うん。 すずき カワノが言ってたのかな、「俺たちって『マガジン』だよね、『ヤングガンガン』だよね」みたいな。王道というよりは邪道だよね、っていう。でも時速ってめちゃくちゃ王道のロックスターじゃないですか。その王道をそのまま突き進んでほしいなと思うんです。変な、邪道な気持ちは入れずに、まっすぐな音楽をずっと作り続けてほしいなと思っていますね。 ――逆にいうと、自分は邪道というか、『ヤングガンガン』的なオルタナティブなものであるっていう自覚のもとにやってるって感じですか? すずき 自覚はあります。作り終わった後、「ひねくれてんな」って自分でめちゃくちゃ思います。 ――王道に憧れる気持ちもあるんですか? すずき ありますね。もともとバンドを好きになったきっかけって、王道なものから入ったんで。BUMP OF CHICKENとかASIAN KUNG-FU GENERATIONとか、中学生のときにそういうものを聴いたのが入口だったんで。ああいう王道のロックスターにはずっと憧れはあります。 ――でも、どうも俺はそっちじゃねえなっていう。 すずき なんか違うな、性格的に無理だなって。だから邪道をやってます。