米菓、値上げの波 コメ価格高騰、シロエビ不漁 県内メーカー苦慮
●富山土産「価格維持したいが…」 富山県内の米菓メーカーが、コメの価格高騰と「富山湾の宝石」と呼ばれるシロエビの不漁で対応に苦慮している。富山土産のシロエビを使ったせんべいやかきもちなどの商品で値上げが相次いでいる。物価の上昇が止まらない中、各社からは原材料の高騰に「お手軽な価格を維持したいが、コストを吸収しきれない」と消費者の米菓離れを懸念する声が聞かれる。 田中商店(富山市)は12月から主力商品「有磯せんべい」を値上げする。シロエビ、ホタルイカ、ベニズワイガニ、イカスミ、ブリ、バイ貝の6種類のうち、シロエビの販売価格を現在の9袋入り864円(税込み)から1割程度引き上げる。6種類セットの価格は据え置く。11月からは「長福もち」など大福の価格を10~15%アップする。 同社は2022年2月にも包装資材や砂糖などの原材料価格高騰を受けて一部商品の価格改定を実施している。 北越(砺波市)は9月に「白えびもち焼」など全商品の7割で値上げに踏み切った。直近2年間で3回目の値上げとなる。毎回の平均値上げ率は5%で、片山雄博社長は「最小限にとどめているが苦しい状況だ」と語った。 今夏は全国的なコメ不足の影響で、富山県産コシヒカリの新米は前年よりも約2割高い10キロ5千円前後で店頭販売がスタートした。肥料や資材の価格高騰で農家の経営は厳しく、新米流通後も高止まりの傾向は当面続くとみられる。 富山県水産研究所の調査では、富山湾でシロエビの4~9月の漁獲量は117・8トンで前年同期の496・1トンと比べて23・7%と低い水準となっている。能登半島地震で海底地滑りが発生して生息海域が変わった可能性があり、漁獲量の回復に時間がかかる見通しが示されている。 こうした状況を受け、日の出屋製菓産業(南砺市)は6月にシロエビを使ったせんべいを値上げした。一口サイズの「SHIRO TSUMAMI」は塩、ゆず、白こしょう、チーズトリュフの4種類を50円引き上げて6袋入り550円(税抜き)とし、白ごまの販売を終了した。アニメキャラクター「ドラえもん」を包装に描いた「しろえび紀行」は100円アップで1箱1200円(同)にした。