小池都知事への報告書提出は6月中旬 東京都の市場問題PTが10回目の会合
豊洲市場への移転問題を話し合う東京都の市場問題プロジェクトチーム(PT)は5日午後、10回目の会合を開き、豊洲市場移転案と築地市場改修案の両案を盛り込んだ第一次報告書案について協議した。修正を経て、6月中旬に小池百合子知事に提出する予定。
豊洲市場移転案については、開場すれば市場会計全体で毎年100~150億円の赤字が生じる問題と、無害化がいまだ実現しない土壌汚染対策の問題があると指摘。移転するならば、過去に注ぎ込まれた土壌汚染対策費860億円を支出してきたことについて、「都が正当な説明をすべきだ」とした。移転のメリットについては、言及をしなかった。 築地市場改修案では、民間的な手法を導入した場合(A案)と都が主導した場合(B案)、さらに、営業しながらの改修(1案)と一旦どこかに移転しての改修(2案)を組み合わせた計4パターンの選択肢を提示。事業費はA案+2案で約800億円(工期3年半)、B案+1案1388億円(同15年)を見込んだ。
都の中央卸売市場については、組織改革の必要性があると指摘。経営戦略の立案・実行・検証が行える組織に変わらない限り、豊洲移転にせよ築地改修にせよ「卸売市場の再生はない」とした。 小島敏郎座長(青山学院大学元教授)は今後、約1週間で修正作業および各委員の再チェックを済ませる方針。小池知事への提出は6月中旬の見通し。その後、専門家会議で土壌汚染対策の結論が出るのを待って、同対策を盛り込んだ第2次報告書を提出する予定だ。 会合ではこのほか、森山高至委員(一級建築士)が、東京都議会議員選挙への立候補に伴い5月30日付で辞職したことも報告された。 (取材・文:具志堅浩二)