映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』©︎映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会

　12月第1週の動員ランキングは、『翔んで埼玉 ～琵琶湖より愛をこめて～』が週末3日間で動員22万2000人、興収2億9500万円をあげて2週連続1位に。同期間の前週との興収比では71%と、やはり前作のような2週目以降の盛り上がりは生まれていない。累計成績は、動員83万8300人、興収11億5100万円。前作の最終興収37.6億円を超えるのはかなり難しくなった。 【写真】鬼太郎と目玉おやじたちが描かれた『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』ポスタービジュアル 　『ゴジラ-1.0』は2週連続で2位。週末3日間の成績は動員14万8000人、興収2億1700万円と、こちらは公開5週目に入っても前週との興収比74%と好推移をキープ。公開から31日間の動員は248万6700人、興収38億2300万円となっている。先週末に公開された北米マーケットではデイリーランキングで興収1位を2回獲得するなど、作品の高評価だけでなく興行においてもセンセーションを巻き起こしている『ゴジラ-1.0』。12月5日までの5日間の全米興収は1,436万ドル（約21.5億円）。上映館数もオープニングの2308館から2500館以上に拡大される予定で、国内の興収を北米の興収が超えるのも時間の問題か。 　公開3週目にして3位にランクアップしたのは、水木しげる生誕100周年を記念して製作された東映のアニメーション作品『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』。オープニング3日間の興収は1億6000万円、公開2週目の同期間の興収は1億6900万円、そして公開3週目の同期間の興収は1億8900万円と、なんとここまで3週連続で右肩上がりを続けている。その要因は、ソーシャルメディアを含む口コミ効果だろう。『ゲゲゲの鬼太郎』のスピンオフ作品とも言える本作は、横溝正史『犬神家の一族』のような因習村サスペンスの枠組を利用しながら、そこに妖怪ものとしてのファンタジー＆ホラー要素や、水木しげる作品の根底にあるメッセージも込められた大人向け（PG12作品）の秀作。逆に言えば、公開前の宣伝が手薄く、作品のそのような特性が広い層にまで伝わっていなかったとも言える。 　公開後に口コミで評判が広がっていった作品としては、昨年の公開作品では吉野耕平監督、吉岡里帆主演『ハケンアニメ！』が挙げられる（奇しくも同じ東映配給作品だ）。ただ、その時は口コミの広がるタイミングが、公開縮少のスピードに追いつかず、公開終了間近になって数少ないスクリーンに観客が押し寄せるという珍しい現象が生まれてしまった。 　その点、今回の『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、公開2週目あたりからラジオ番組などで自主的に作品が取り上げられる機会も増えて、公開規模が縮少される前にその人気にちゃんと火がついたかたちだ。今週末からは第2弾来場者特典としてキャラクターデザインを手がけた谷田部透湖描き下ろしのビジュアルカードの配布が始まることもあり、リピーターも含めてまだまだ数字を積み上げていく見込み。先週末までの公開17日間の動員は57万6400人、興収は8億800万円だが、興収10億円超えは確実として、これからクリスマスシーズンのダークホース作品としてどこまで成績が伸びるかに注目していきたい。