姫路城でガイドの解説に耳を傾けるウクライナの高校生ら＝姫路市本町

　日本初の世界文化遺産・国宝姫路城（兵庫県姫路市本町）と、同遺産の世界第１号の一つ、ポーランドの「クラクフ歴史地区」を構成するバベル城が姉妹城提携を結んだ。友好事業の一環で姫路市などは、ロシアの侵攻を受け、クラクフ市に避難するウクライナの高校生ら１０人を姫路城に招待。子どもたちは木造建築の美しさに見とれ、長期化する避難生活の疲れを癒やした。（井上　駿、真鍋　愛） 【写真】ポーランド・クラクフ市にあるバベル城 　バベル城はポーランドの旧首都・クラクフ市にあり、旧王宮や歴代国王の戴冠式が行われた大聖堂がある。第２次世界大戦の戦禍を免れて現存し、１９７８年に世界遺産登録された。 　姫路城の姉妹城提携は、フランス・シャンティイ城と英ウェールズ・コンウィ城に続き、３件目。１６日に姫路市役所でオンライン形式の締結式があり、バベル城ダイレクターのアンドリュー・ベトリッジさんと清元秀泰市長が協定書にサインした。姫路出身の駐ポーランド大使、河野章さんもオンラインで立ち会った。 　友好事業の第１弾として、同市などは１９日からウクライナ避難民の高校生らを日本に招いた。生徒たちは２１日、姫路城を訪問。ガイドの解説を受けながら大天守まで上がり、敵を阻む曲がりくねった道や、真上から攻撃する「石落とし」などの仕組みを学んだ。 　父を国に残し、母と避難生活を送るキラ・シンケビッチさん（１２）は「姫路城は今まで見た城の中で一番きれい。心が少し安らいだ」と話した。 　父や親戚と離れて暮らすアナスタシア・ヴェンゲルーセメノビッチさん（１５）は「石垣に石棺を使っていると聞き驚いた。日本人の友人をつくり、日本語を学びたい」とほほ笑んだ。 　生徒らは１１月２日まで滞在し、姫路の中高生らと交流する予定。