選抜高校野球に「選考ガイドライン」 大会理念示す「綱領」も
選抜高校野球大会を主催する毎日新聞社と日本高校野球連盟は12日、出場校を選ぶための「選考ガイドライン」や大会理念を明示する綱領などを発表した。同日に開かれた大会運営委員会で決定した。ガイドラインは来春の第95回記念大会から適用する。 選抜大会は予選を持たないため、前年の秋季大会は参考資料の一つであり、その結果で自動的に出場校が決まらない。ガイドラインではこの基本原則を示す一方、「秋季大会の試合結果、試合内容をもとに評価する。その割合は同程度とし、総合的に判断する」「試合内容については、投手力、打撃力、守備力、機動力など技術面のみならず、作戦の徹底、創意工夫、粘り強さといった試合運びや、フェアプレー、マナー、きびきび、はつらつとした動きといった野球に取り組む姿勢のほか、戦力のバランスやチームの潜在能力、大会を通しての成長ぶり、チームワークなども評価の対象とする」など選考評価のポイントを明記した。 これまでも、大会要項で「技能については、その年度の新チーム結成後よりアウトオブシーズンに入るまでの試合成績ならびに実力などを勘案するが、勝敗のみにこだわらず、その試合内容などを参考とする」などの基準が定められてきた。 しかし、大会のあり方をかねて検討してきた「センバツ改革検討委員会」では、これまでの選考基準を再確認したうえで、さらに明確化、透明化する必要があるとの結論が出た。また、大会理念をより分かりやすく伝えるために綱領も定めた。 今年度の「センバツ改革検討委員会」は5月に外部アドバイザーとして、横浜高野球部元監督の渡辺元智氏、早大スポーツ科学学術院教授の間野義之氏、弁護士の松本泰介氏の3人を選任し、各地区高野連の代表理事や今春の選抜大会の地区別小委員会正副委員長も含めて意見を聞き、ガイドライン案などの検討を重ねた。 選抜大会は例年、一般枠で全国10地区から29校、21世紀枠で3校の計32校(記念大会を除く)を選んだが、各地区の枠の割り振りについても今後、議論を進める。【岸本悠】 ◇選抜高校野球大会 選考ガイドライン 発表された選考ガイドラインの概要は次の通り。 ◇基本原則 ①選抜高校野球大会は招待大会であり、選考委員が、選考委員会において厳正、公平に出場校を選出する。 ②本大会の特色は予選を持たないことである。秋季大会の試合結果は重要ながらも、あくまで参考資料の一つである。 ③本大会の理念を実現するため、勝敗のみにとらわれず、出場にふさわしい学校を選出する。 ④選考委員それぞれが選出の理由を客観的に説明できるように努める。 ◇評価のポイント ①秋季大会の試合結果、試合内容をもとに評価する。その割合は同程度とし、総合的に判断する。 ②試合内容については、投手力、打撃力、守備力、機動力など技術面のみならず、作戦の徹底、創意工夫、粘り強さといった試合運びや、フェアプレー、マナー、きびきび、はつらつとした動きといった野球に取り組む姿勢のほか、戦力のバランスやチームの潜在能力、大会を通しての成長ぶり、チームワークなども評価の対象とする。 ③複数の学校の評価が並んだ場合、できるだけ多くの都道府県から出場できるよう地域性も考慮する。 ④秋季大会については、府県大会についても参考とするが、選考委員が視察する地区大会の結果、内容を優先する。 ◇選抜高校野球大会綱領 大会理念 選抜高校野球大会を主催する毎日新聞社と日本高校野球連盟は12日、大会綱領を発表した。綱領の中で明記された大会理念は次の通り。 ◇ 選抜高校野球大会(センバツ)は関東大震災の傷跡がまだ生々しい1924年、「野球を通じて生徒たちに純真明朗な気風を吹き込むとともに、国民の希望の灯をともしたい」という願いをこめて誕生した招待大会である。戦争による5年の中断、社会の価値観の変化、災害や疫病などさまざまな困難に直面しながら、その在りようを時代とともに変化させ、今日まで受け継がれてきた。 夏の全国高校野球選手権大会後に結成された新チームが秋季大会で結束を高め、冬場の鍛錬を経て、成長した姿を披露する場。さらには春の野球シーズンの開幕を告げ、各チームがその後の飛躍に向けた礎を築く場。それがセンバツを開催する意義である。 センバツに予選はない。都道府県高校野球連盟が校風、品位をも勘案して候補校を推薦し、選考委員会が秋季大会での試合結果および試合内容をもとに出場校を選考する。大会開催は日本学生野球憲章が示す「学生野球の基本原理」にのっとり、野球を通じてフェアプレーの精神、友情、連帯をはぐくむことを目的とする。