閉館したら所蔵するアート作品どうなる?作家が引き取るか他を探すか…「扱い未定」の館が最後の展示
今年度末に閉館するが…
長野県飯田創造館(飯田市)は同館が所蔵する、飯田下伊那地方ゆかりの作家らの芸術作品を紹介する作品展を開いている。2024年度末に閉館を控えるが、閉館後の所蔵作品の扱いは未定。日展や県展で入選の実績がある作家の作品も多く、同館は「一堂に見られる最後の機会」として来館を呼びかけている。 【写真】所蔵されているアート作品
地元ゆかりの作家の100点所蔵
同館は1979(昭和54)年の開館以降、飯伊地方出身の作家や講習会の講師を務めた作家らが寄贈した約100点を所蔵。このうち絵画を中心に約50点を館内の階段や廊下に常設展示している。
今回の展示は公開の機会が少なかった残りの約50点が対象。現在は絵画や彫刻、陶芸など30点余を展示する。泰阜村出身の彫刻家倉沢興世(こうせい)(1895~1980年)が戦前に帝展で入選したブロンズ像、今年3月末まで飯田市美術博物館館長を務めた滝沢具幸(ともゆき)さん(82)の日本画などが目を引く。随時入れ替え、年度末までに全作品を紹介する。
創造館によると、閉館後の文化芸術活動拠点として南信州広域連合が運営する新施設では、作品の保管や展示は難しいという。同館の指定管理を担う県文化振興事業団は、作家側に作品の引き取り意思を確認し、引き取らない場合は飯伊地方の公共施設での展示などを検討する方針だ。
「魂が込められた作品、心に残して」
同館の本島正裕業務課長は「作家の魂が込められた作品を創造館の思い出とともに心に残してほしい」と話している。午前9時~午後5時。無料。問い合わせは同館(電話0265・52・0333)へ。