DeNA・大村コーチが見た筒香嘉智の進化「研ぎ澄まされている。静かで怖い」
DeNA・大村巌育成打撃コーチ(54)が、5年ぶりに復帰した筒香嘉智外野手(32)の打撃練習を支えている。4年目の筒香にマンツーマンで指導し、飛躍を後押ししたことで知られる師匠。米国で独立リーグを含む7球団を渡り歩いた末、古巣に舞い戻ったスラッガーに変化はあったのか。大村コーチが見た教え子の姿に迫った。 【写真】球団施設「DOCK」でフリー打撃をした筒香。合間に新人の小笠原と言葉を交わす場面も 打撃投手として久々に筒香と向かい合った大村コーチは、米国で荒波にもまれた教え子の変化を感じ取った。鋭いスイングを目の当たりにし「研ぎ澄まされている。静かで怖い」と評した。 5年ぶりに復帰した筒香が17日に球団施設で始動してから、連日のように練習をサポートしている。振り返れば2013年。当時4年目でくすぶっていた大器は、大村コーチのマンツーマン指導を受けて飛躍の足がかりを築いた。 筒香は20年に海を渡ってから「無駄な部分をそぎ落とす作業をかなりしてきた」と明かす。投手は日本と比べて足を上げてから下ろすまでの時間が短い傾向にあり、打者の手元で球を動かすタイプが多い。多種多様な相手に対応するために突き詰めたのが、無駄な動きがない打ち方だった。 大村コーチは「見た目はシンプル。でも、中身はものすごく深い」と実感を込める。そして「いろんな球を打ってきたんだなと。大きな無駄を経験してきた人間にしか分からない。必要なものしか残らないから。無駄は貴重」と続ける。 筒香の練習内容にも驚かされた。球速158キロに設定した投球マシンにバッテリー間の18・44メートルで対峙(たいじ)し、球を捉えてはマシン寄りに1歩距離を詰める。重さやバランスの異なる複数のバットを使い分け、木製にとどまらず金属でのスイングも取り入れる。何十種類もの動きで体を起こすところからメニューは始まる。 「飽くなき探求心がある。今もうまくなっている途中」。帰ってきたスラッガーの師は、32歳のいまなお貪欲な教え子の姿に目を細めた。(鈴木智紘) ■大村 巌(おおむら・いわお) 1969(昭和44)年5月31日生まれ、54歳。北海道出身。東海大四高(現東海大札幌高)から88年ドラフト6位でロッテ入団。99年はともに自己最多の13本塁打、52打点。2003年限りで現役引退。通算441試合で打率・268、36本塁打、174打点。日本ハム、DeNA、ロッテでコーチなどを歴任。20年にDeNAに復帰し、今季は育成打撃コーチ。右投げ右打ち。