「実質1%」上回る成長実現へ、中期的枠組みを-諮問会議の民間議員
(ブルームバーグ): 経済財政諮問会議の民間議員は4日、「実質1%を上回る成長」「財政健全化目標の旗を降ろさない」「歳出改革努力の継続」を三つの柱に経済財政運営の新たな中期的枠組みを策定するよう提言した。
今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の策定に向け、経団連の十倉雅和会長や経済同友会の新浪剛史代表幹事ら民間議員4人が、同会議で示した。
提言では、高水準の賃上げや設備投資の実現で迎えたデフレからの完全脱却のチャンスをつかみ、日本を「新たなステージ」に移行させるため、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを前進させることが重要と指摘。人口減少が本格化する2030年度までを期間として、必要な経済・財政・社会保障を一体とした政策の基本方針を定めるよう促した。
成長率に関して政府は、18年の骨太の方針に盛り込んだ「新経済・財政再生計画」では、「実質2%程度、名目3% 程度を上回る成長を実現することが財政健全化に必要である」と指摘していた。1月に公表された政府経済見通しは、24年度の実質国内総生産(GDP)は1.3%程度、名目で3.0%程度を見込んでおり、実質は目標に届いていない。
財政健全化に向けて25年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化を掲げた目標に関しては、自民党内の一部からは撤廃を求める意見も出ていた。これに対し、民間議員提案は「財政に対する市場の信認」が揺るがぬようにすることを挙げ、今後も維持するよう求めた。
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Yuki Hagiwara