ロッキーズ対ドジャース　6回表ドジャース無死一、三塁、右越えに54号3点本塁打を放つ大谷（撮影・菅敏）

＜ロッキーズ4－11ドジャース＞◇27日（日本時間28日）◇クアーズフィールド 　【デンバー（米コロラド州）27日（日本時間28日）＝斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手（30）が、また打って、また走った。ロッキーズ戦に「1番DH」で出場し、54号3ランを含む5打数4安打4打点。打率を3割9厘まで上げ、本塁打、打点、打率の打撃3冠が一気に現実味を帯びてきた。2回には右前適時打で出塁してから二盗に成功。今季57盗塁目で01年のイチロー（マリナーズ）を抜いて、日本人のシーズン最多を塗り替えた。前日に地区Vを決め、ラストスパートで勢いをさらに加速させた。 【動画】大谷翔平、打った瞬間確信の54号！２階席まで運ぶ特大弾 　　　　◇　　　◇　　　◇　　 　“ヒッターズ・ハイ”。そんな言葉遊びを思い浮かばせるほど、大谷は打ちまくった。右へ、左へ、上へ、4安打の固め打ち。打率を一気に上げ、逆転3冠王が現実味を増した。首位打者アラエス（パドレス）と5厘差。打撃3冠に加え、シーズン200安打まで残り2試合で6本とした。ロバーツ監督は「意識はしていないと思うが、気付いているだろう。達成可能なものなら何でも、彼のレーダー上にある」。ロックオン状態が続いている。 　敵地クアーズフィールドは標高1マイル（約1600メートル）の高地にあり、空気抵抗が低く、打球が飛びやすい“マイル・ハイ”の球場だ。6回無死二、三塁、フルカウントから内角高めチェンジアップを高々と右翼2階席まで運んだ。436フィート（約133メートル）の飛距離より、驚くのは打ち方。片手のフォロースルーで、ミート意識で裁くように捉えた当たりでも、すぐに本塁打を確信できるほど飛んだ。8回の第5打席では左腕ペラルタの初球をあっさり捉え、三遊間を切り裂くクリーンヒット。快足を飛ばし、二塁打とした。 　もちろん打つだけではない。2回に右前適時打を放つと、2番ベッツの2球目で二盗に成功。日本人のシーズン最多を塗り替える57個目の盗塁を決めた。こちら走る方でも「ランナーズ・ハイ」。前日は地区優勝を決め、シャンパンファイトの後に敵地デンバーへ移動した。シーズン160試合目とは思えない底なしの体力。むしろ、ラストスパートで勢いが加速している。 　敵地ファンも“ハイ”になり、大谷の毎打席で歓声が沸き起こる。「MVPコール」が響き、逆転3冠王への期待は高まるばかりだ。ロバーツ監督は「ちょうど、アラエス（の結果）をチェックしたよ。私は3冠王が取れると個人的に信じている」とニヤリ。その上で、残り2試合も出場させることも明言した。“ヒッターズ・ハイ”状態が続く大谷。最後まで、何が起こるか分からない。 　▼大谷が54号を含む4安打4打点1盗塁。シーズン57盗塁は、01年イチロー（マリナーズ）の56盗塁を上回って日本人最多を更新した。今月は10本塁打、32打点。月間32打点は03年6月の松井秀（ヤンキース）と、エンゼルス時代の23年6月に自身が記録した29打点を上回る日本人選手の新記録。また、8月も12発で、2カ月続けて2桁本塁打は日本人選手初めて。