退職金の額が増える?「iDeCoの給付金」を効率的に受け取るコツ
退職金は、長年の勤労に報ることや、老後の生活保障という意味合いを持っていることもあり、他の所得よりも税金が優遇されています。少しでも税金を抑えて、退職金を得るためのポイントを、元国税専門官でマネーライターの小林義崇さんが解説します。 【図】60代から不足するお金の割り出し方 ※本稿は、小林義崇著『会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて』(PHPビジネス新書)より、内容を一部抜粋・編集したものです。 ※本稿は投資に対する著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入を含む投資の判断はご自身の責任で行なうようお願いいたします。
勤続年数が長いほど税金が減る
退職金は、一括で受け取るときは退職所得、分割払いなら雑所得となり、所得税や住民税がかかります。課税退職所得は、次のように計算を行います。 課税退職所得=(退職金ー退職所得控除)×1/2 そして、退職所得控除は、勤続年数にしたがって、以下の計算式で求められます。 【勤続年数20年以下】40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円) 【勤続年数20年超】800万円+70万円×(勤続年数‒20年) たとえば勤続40年で退職をしたとします。この場合、退職所得控除額は2200万円ですから、退職金が2200万円以下であれば税金がかかりません。 退職金の受取額が退職所得控除額を超えた場合は、超えた金額の1/2に所得税と住民税がかかります。仮に勤続年数30年で2000万円の退職金をもらったとすると、所得税と住民税を合わせた納税額は40万円ほど。これは、給料などにかかる税金に比べると圧倒的に低い税負担率です。 定年まで勤務したサラリーマンの退職金の平均額は2000万円を下回るので、多くの場合は退職金に税金がかかることはないでしょう。 覚えておきたいのは、退職の予定が決まったら、退職するまでに必ず「退職所得の受給に関する申告書」という書面を会社に出しておくことです。これをしておけば、退職所得控除などを加味した正しい金額で所得税の源泉徴収が行われます。 退職金よりも退職所得控除額のほうが多ければ、税金が差し引かれることなく、全額を受け取ることができます。 でも、書面を提出せずに会社を退職すると、一律で退職金の約20%の所得税が源泉徴収されてしまいます。この場合、取られすぎた所得税の還付を受けるためには、確定申告をしなくてはいけません。