昨季プレーオフ決勝の再現・S東京ベイ×埼玉WK! 絶対不利の崖っぷちから王者の巻き返しなるか?
殊勲の岸岡とスーパールーキーの評価を求められた指揮官と主将はこうコメントした。 ルディケHC「(岸岡について)確実に成長している。モールトライなどモメンタムのコントロールのところ、前半良く後半悪い試合が過去何試合かあったが、今日はステップアップし、彼の才能が見えた。試合の中でも落ち着いてプレーできている。 (江良について)毎試合良くなっているし、特にボールキャリー、接点の強さでインパクトを見せている。後半大事なところで組んだスクラムでも大きな成長を見せてくれている」 立川主将「(岸岡について)タイトな試合を戦っていく中で若い9番(藤原)と10番(岸岡)もいい経験が積めている。途中から入った選手もいいインパクトを与えてくれたことで最後の勝利につながった。ケガ人が多い中でもチームの力を示すことができた。 (江良について)見てわかるように大学を卒業してすぐあれだけのパフォーマンスができるのはすごい。人間としてもいい奴。クボタの将来を担う人材だと思う。明るいし、堅苦しくないし、2~3年チームにいるような雰囲気もあるし、チームにもエナジーを与えてくれている。早く日本代表になった方がいい」 一方、埼玉WKは盤石の戦いぶりを見せ付けている。第1節・横浜E戦53-12、第2節・近鉄花園ライナーズ戦49-0、第3節・BR東京戦44-17と危なげなく開幕3連勝。第4節・トヨタV戦こそ前半に4トライを許して5-27のビハインドとなったが、前半ラストプレーでPGを選択。8-27で折り返すと、後半は一転5トライを記録、守っては相手をシャットアウト。終わってみれば43-27。 第5節・相模原DB戦は12トライを量産して81-21、第6節・三重H戦は10トライの雨を降らせて70-12と2試合連続で大勝すると、第7節・東京SGと取りつ取られつの白熱したシーソーゲームを繰り広げた。それでも61分にSO松田力也のPGで21-20と逆転すると、ラストプレーでも松田のPGで締め括り24-20でフィニッシュ。第8節は昨季リーグ戦で初黒星を付けられた因縁の静岡BR戦を45-19でクリア。BL東京との全勝対決となった第9節も数的不利となった相手に追い上げられたものの、最終的には36-24で締め括った。 前節も一貫したパフォーマンスを披露。3月16日・敵地で開始早々、神戸Sにトライを献上するも、9分センターライン付近でペナルティを受けるとPGをチョイス。松田が決めて3点返すと、14分にLOマーク ・アボットがシンビン、その2分後に相手もシンビンとなる中、33分までに互いにPGを2本ずつ決められて9-11に。35分には自陣深くでのラインアウトから神戸Sにモールでインゴールに雪崩れ込まれるもグラウディングは許さず。36分SH内田啓介のターンオーバーからのビッグゲインはインゴールラインに届かなかったが、38分WTB長田智希が大外右から中へ切り込んで逆転トライ。対する神戸Sも譲らず53分に逆転トライ、さらにGを決められて14-18とされたが、ここで埼玉WKがギアを一段上げる。今季初先発のFL大西樹が守備網の穴を突いて再逆転トライをマークすると、65分には第5節以来の出場となるFB山沢拓也がとどめのトライ。埼玉WKが神戸Sを28-18で切って落とした。 昨季まで“逆転のワイルドナイツ”の異名通りに薄氷を踏む逆転劇も散見したが、今季はそこまで追い詰められた試合すらない。クラブ間の戦力差が詰まり、タイトなゲームが多くなっている3季目の『NTTリーグワン』に於いて、埼玉WKは余裕すらを感じさせる10連勝をマークしているのだ。10試合を終えて、埼玉WKはリーグ最多の473得点、リーグ最少の170失点。リー2位が神戸Sの395得点、BL東京の226失点と言えば、いかに埼玉WKの数字が際立っているかわかるだろう。 下馬評では埼玉WK有利である。だからこそ、S東京ベイには勝利が求められる。プレーオフ圏内の4位神戸Sに勝点3差を付けられたS東京ベイには起爆剤が必要不可欠である。全勝の埼玉WKからの白星はリーグ終盤戦に向けて、これ以上ない起爆剤となるはずだ。 果たしてS東京がここから浮上してくるのか、それとも埼玉WKがここで引導を渡すのか。『NTTリーグワン2023-24』第11節・S東京ベイ×埼玉WKは3月22日(金)・秩父宮ラグビー場にてキックオフ。当日、オレンジのアイテムを着用した来場者先着3000名にこの試合限定のスッピーステッカーをプレゼント。チケット発売中。 取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)