能登半島地震 帰省先での被災者の安否確認の難しさ
地震が起こりそうな地域を重点的に対策しても意味がない
飯田)今回のような災害が毎年のように起こっていますね。 須田)「地震は予知できない」ということが定着してきています。加えて、日本全国どこで地震が起こってもおかしくない状況になっている。地震が起こりそうな地域を指定し、重点的に対策してきましたが、「それは意味をなさない」ということに気付くべきだと思います。
年末年始で帰省していた人も多く、安否確認の正しい数字が出てこない
飯田)今回の地震は元日に起こったため、安否確認が取れない方の数が非常に大きくなりました。帰省されている方は、住民基本台帳をもとにしてもデータが上がってきません。1つひとつ聞き取りをしないと正しい数字が出てこないので、苦労しているようです。 須田)私の石川県出身の知り合いも帰省していて、「命からがら帰ってきた」と言っていました。同じように帰省していた方々が、年末年始の休みでかなりいるはずなのです。そういった人たちも含めて、今後どういう形でチェックしていくのか考える必要があります。 飯田)私は能登半島にある「のと里山空港」という、穴水町と輪島市の間にある空港を取材しましたが、ちょうど4時過ぎに東京・羽田行きの便があって、それに搭乗する方々も当時はたくさん空港にいたらしいのです。その人たちが足止めされてしまった。周辺の道路も寸断されているので、しばらくまったく身動きが取れなかったようです。結局、2日は空港内で夜を明かしたそうですが、その人たちは地元に住んでいるわけではないので、地元の住民基本台帳には載っていません。多くの人がいるけれど、名簿をつくるわけにもいかないし、なかなか難しかったということです。「のと里山空港」は道の駅や奥能登の事務所も併設されていて、食糧を備蓄する基地にもなっていましたが、その備蓄もあっという間に底をついてしまったということでした。 須田)あの空港は搭乗率6割を超えていたがゆえに、路線が設定されたという部分がありますが、そこは県の主導でやってきた。今後は空港の存在価値を考えてみるべきだと思います。