デンマーク史上最高視聴率を記録、リアルタイム型サスペンス「THE KILLING/キリング」のあらすじと見どころに迫る
ヨーロッパやアメリカにおける北欧ドラマブームの火付け役となった傑作リアルタイム型サスペンス「THE KILLING/キリング」。1つの殺人事件が解決するまでの20日間に及ぶ捜査の過程を、1捜査日を1話として描きながら、刑事たちの警察内部での関係や、被害者の家族の葛藤、事件によって思わぬ影響を受ける関係者たちの波乱万丈な日々にも焦点を当てていく。本記事では、そんな本作の見どころとあらすじに迫る。 【写真】「THE KILLING/キリング」ファンおなじみの俳優陣が多数出演する「THE BRIDGE/ブリッジ」 ■北欧ドラマブームの火付け役となった「THE KILLING/キリング」 2007年にデンマークで放送がスタートした本作は、放送開始直後より視聴者に熱狂的に支持され、国民の3人に1人が視聴するというデンマーク史上最高視聴率を記録した。その後、その人気はヨーロッパを中心とした国外にも広がっていく。 2011年にはイギリスBBCで放送が開始し、「MAD MEN」を超える視聴率を獲得するほどの大ヒットを記録。さらにアメリカでもAMCがリメイク版として「THE KILLING ~闇に眠る美少女~」を放送し、エミー賞に6部門でノミネートされるなどの人気作となった。 その後、「THE KILLING/キリング」シーズン2、3に続き、「コペンハーゲン 首相の決断」「THE BRIDGE/ブリッジ」「ゾウズ・フー・キル」といった北欧のTVドラマシリーズがイギリスでも放送されるようになるなど、本作はイギリスに北欧ブームが起きるきっかけとなった作品としても知られている。 ■事件や人間ドラマを丁寧に追っていく斬新な構成で視聴者を魅了 脚本を務めたソーレン・スヴァイストゥルップ氏は、当時たった1時間で事件を解決させてしまう流行りのTVシリーズに違和感を覚えていたそう。そのため本作のシーズン1では、真犯人が明らかになるまでの20日間に及ぶ捜査過程が、1捜査日につき1話、全20話にかけて描かれている。 その間に新たな容疑者が次々と浮上し、捜査にあたる刑事たちの人間関係や被害者の家族の葛藤、事件によって影響を受ける人物たちなど、それぞれのドラマが絡み合いながら事件の真相へと向かっていく。関係者たちが繰り広げる人間ドラマを1日ごとに丁寧に追っていける点が本作の最大の見どころと言えるだろう。 また主人公の女刑事サラ・ルンド(ソフィー・グローベール)の個性的なキャラクターも注目ポイントの一つ。バツイチ子持ちで感情をあらわにすることなく口数の少ない彼女は、職場ではいつも一匹狼。プライベートよりも仕事優先、仕事ができ、ありのままの自分でいられる強さをもつ“超男前”のサラは、これまでにない新たなヒロインとして描かれている。 そんなサラのトレードマークとなっているのがいつも着ているセーターだ。デンマーク、フェロー諸島産の手編みのセーターで、彼女は白と黒の2枚を着回しているのだが、汚れてもいつの間にか綺麗になり、破けてもすぐに元通りになっているのが面白い。イギリスの視聴者は特にこのセーターがお気に入りのようで、生産が追いつかなくなるほど売れたという。 ■遺体が見つかった車の所有者は、市長選で最有力候補の市議だった… シーズン1では、ナナ・ビルク・ラールセンという少女の殺人事件の真相を追っていく。コペンハーゲン郊外で引越業を営むタイス・ビルク・ラールセン(ビャールネ・ヘンリックセン)の長女で19歳のナナが行方不明になり、森の中で遺留品が発見される。サラたちは、近くの運河に車が沈められているのを見つけ、引き上げるとそこにはナナの遺体が…。その車の所有者は、まもなく開かれるコペンハーゲンの市長選で最有力候補と言われている市議会議員のトロールス・ハートマン(ラース・ミケルセン)だった――。 シーズン2では、弁護士アネ・ドラウスホルムの死体が、コペンハーゲン中心部にあるナチスドイツ占領時のレジスタンスを記念した公園で発見される。21箇所も刺され、元処刑場所の柱にくくりつけられるという異様な状態であった。新たに法務大臣に任命された若き政治家トマス・ブク(ニコラス・ブロー)が受け取ったメールのリンクを開くと、そこにはアネ・ドラウスホルムが殺される直前に犯人に声明を読まされている映像が…。捜査を進めるサラは、軍人が被害者となった事件と弁護士殺人事件という、一見無関係に思える事件をつなぐ糸口を見つける――。 シーズン3では、サラが勤続25年を迎え、これを機に捜査の第一線から退こうとしていた。そんな中、旧知の仲である情報局捜査官のボークからある事件の捜査依頼を受ける。金融危機をめぐる政策が争点となる今回の選挙で再選を目指す首相のクレスチャン・カンパ(オーラフ・ヨハネセン)は、巨大企業シーランド社の協力のもと、再選をかけた金融政策を打ち出していたが、シーランド社がアジアに拠点を移すという報道から波紋が広がっていた。そんな中、海外移転の話をはねのけ現政府支持を表明していたシーランド社の社長ローバト・ソイデン(アナス・W・ベアテルセン)の長女イミーリェが忽然と姿を消す――。 犯罪捜査、ヒューマンドラマ、政治スリラーなど、さまざまな要素を余すことなく楽しめる傑作ミステリー「THE KILLING/キリング」は、動画配信サービス「Hulu」にてシーズン1~3まで配信中。