「103万円の壁」攻防もデキレースで決着か…気がつけば政界中枢に“財務省マフィア”がウヨウヨ
衆院選後の一大テーマとなっているのが「年収の壁」問題だ。国民民主党が掲げた非課税枠を103万円から178万円へ引き上げる公約をめぐり、政府が「7兆~8兆円の税収減になる」と難色を示せば、国民民主の玉木雄一郎代表は「予算の使い残しや税収の上振れ分で賄える」と反論。これにはSNSなどでも、「財源なく減税を主張するのは無責任」「いや、壁を取り払うことで経済活動が活発化する」と賛否両論が渦巻く。 【顔を見る】セクハラで財務次官を辞任した福田淳一氏 少数与党の石破政権は野党の協力を得なければ法案も予算案も通せない。玉木氏の主張する「手取りを増やす」が実現するのかどうか。年末の税制改正に向け、政府・自公vs国民民主の攻防が注目されているが、「関係者はみな財務省マフィアだから、本気のバトルにはならない」(自民ベテラン)との囁き。どういうことか……。 「103万円の壁」は税制に関係する。自民党の宮沢洋一・税制調査会長は1974年入省の元大蔵官僚。税調幹部の後藤茂之・元厚労相(80年入省)と小林鷹之・元経済安保相(99年入省)もそうだ。自民執行部では、辞任した小泉進次郎・前選対委員長の後任に名前が挙がる木原誠二・元官房副長官(93年入省)が元大蔵官僚である。そして、国民民主党は代表の玉木氏が木原氏と同期の93年入省組。古川元久・国対委員長も88年入省、とまあ財務省(大蔵省)出身者ばかりなのだ。 自民党では麻生太郎・最高顧問が財務大臣を戦後最長の8年9カ月務め、財務省にとっては最強の後ろ盾だ。「岸田政権時に、麻生さんが財務省つながりで玉木・国民民主党を連立政権に引き込もうと画策し、木原氏を仲介役にして連絡を取っていた」(前出の自民ベテラン)という。 もっとも、野党第1党の立憲民主党の中枢にも財務省マフィアはいる。大串博志・選対委員長が89年入省組。野田佳彦代表は財務大臣経験者だ。 財務官僚は霞が関の府省でもエリート中のエリート。選ばれし者の意識が強く、とりわけ出身者の結束が固いと言われる。 「みんな裏でつながっていて、『年収の壁』見直しはデキレースになるんじゃないか。事務方の財務省が落としどころを用意しているだろう。玉木代表の要求がある程度通ったという形で見せ場をつくりつつ、財務省の傷(税収減)をできるだけ抑えるような計算をしながらやっている」(政治評論家・野上忠興氏) 抜本的な改革になるのかどうか。財務省マフィアに騙されないよう、議論の行方をしっかり注視する必要がある。 ◇ ◇ ◇ ラサール石井さんは自身のコラム『東憤西笑』(関連記事【もっと読む】)で、玉木代表が「よく見ていないと危険な人物」と看破している。