長塚京三『敵』19年ぶり快挙!東京国際映画祭でグランプリ含む3冠達成:第37回東京国際映画祭
第37回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが6日、TOHOシネマズ日比谷にて行われ、吉田大八監督、長塚京三主演の『敵』が最高賞にあたる「東京グランプリ/東京都知事賞」に選出。最優秀監督賞、最優秀男優賞とあわせて3冠を達成した。日本作品がグランプリを受賞するのは、2005年の『雪に願うこと』(根岸吉太郎監督)以来19年ぶりとなった。 【画像】長塚京三、12年ぶり映画主演!グランプリに輝いた『敵』 110の国と地域から、2023作品の応募があったコンペティション作品。最優秀男優賞を受賞した長塚は「レッドカーペットを歩いたあと、またこうした舞台に立ち、びっくりしてまごまごしてしまっています」と笑顔を見せると「一人ぼっちで助けもなく、敵に閉じ込められてしまうという話。でもこういう場に立たせてもらい、結構味方もいるんじゃないかと気を強くした思いです」と語る。
さらに長塚は「ぼちぼち引退かなと思っていた矢先だったので、奥さんはがっかりするかもしれませんが、もうちょっとこの世界でやってみようかなという気持ちになりました。東京国際映画祭ありがとう。観てくださった皆さんありがとう」とスピーチした。
続いて最優秀監督賞を受賞した吉田監督は、「東京国際映画祭の審査委員の皆さんにお礼申し上げます」と感謝を述べ、「小さな映画の誕生から旅立ちまで見送ってくれたスタッフ、俳優の皆さんに心から感謝します。自分がいい監督かどうか自信は持てませんが、皆さんのおかげでいい映画になったと思います」と胸を張った。
映画祭のラストを飾る東京グランプリ/東京都知事賞では、審査委員長のトニー・レオンから『敵』の作品名が発表されると、吉田監督と長塚は満面の笑みを浮かべた。改めて登壇した吉田監督は、「東京はとてもいいところです。僕も長塚さんも、皆さんにとって敵であり、味方でありたいと思います。これからも映画をよろしくお願いします」と呼び掛けていた。
グランプリ作品の『敵』について、トニーは「素晴らしい映画で心を打たれました。知性やユーモアのセンスを素晴らしいタッチで描き完璧な作品に仕上げてくれました。とてもエレガントで神聖な映画表現でした」と総評していた。(磯部正和)