「オオタニは想像以上の選手だった」“ドジャースの象徴”カーショーが大谷翔平を認めるまで…あの歓喜の日、なぜ耳元で“感謝”を伝えたのか?
大谷とカーショーの“知られざる共通点”
パドレスとの地区シリーズ第4戦。負ければ、ドジャースの今季が終わってしまう。頂点に立った今、ドジャースのターニングポイントだったといえる試合で、大谷が審判に感情をあらわにした場面があった。 4回2死二塁。二塁走者の大谷は、三塁線の打球をマニー・マチャドがはじいたのを見て三塁を蹴ったが、そのボールが審判に当たって跳ね返ってマチャドの元に。マチャドはすぐさま本塁に送球し、大谷はタッチアウトとなった。何が起きたか分かっていなかった大谷はベンチでその映像を確認。その瞬間、怒りをあらわにして審判の方へ向かって、何か激しい言葉を叫んだ。審判に当たらなければ、楽々セーフ。本人は翌日、「忘れました」とはぐらかした。 この時、カーショーはベンチにいて、大谷に目をやった。その映像を見て、長年ドジャースの番記者を務め、カーショーを若い頃から知る名物コラムニストのディラン・ヘルナンデス記者は言った。 「あれは、ずっとカーショーがやってきたことだ。自分を思い出したのかもしれない」 闘争本能むき出しの姿を重ね合わせ、ヘルナンデス記者は笑った。
なぜ、カーショーは大谷に“感謝”したのか
ワールドシリーズ優勝の歓喜から2日後、カーショーはドジャー・スタジアムの祝賀イベントの壇上で涙ながらに語った。司会進行役となったロバーツ監督からマイクを渡されると、4万人超の前で感情が高ぶっていた。 「ずっとこの日を待ち望んできた。この仲間よりいいチームでやるなんてことは想像できない。言葉にならない。自分は何もできなかったけど、最高だ。ドジャースは自分の人生そのものだ」 ドジャーブルーのユニホームを着て17年。通算212勝、3度のサイ・ヤング賞と輝かしい実績を残す左腕だが、カーショーのプレーオフの歴史は「苦闘」だった。 自身12度のプレーオフ出場で、ワールドシリーズ制覇は2020年のコロナ禍での短縮シーズンの1度だけ。2018年のワールドシリーズは屈辱の2敗を喫し、2年連続でワールドシリーズの舞台で敗れた。昨年の地区シリーズでは1回持たずにまさかのKO。そのシリーズ後、引退も視野にあると語った。 ドジャースの誰よりもチームの勝利のために腕を振り続け、誰よりも頂点に立つ難しさを知っている。 だからこそ、今回、仲間が勝ち取った優勝は誇らしかった。だからこそ、大谷に感謝した。
(「メジャーリーグPRESS」阿部太郎 = 文)
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