韓国戦の屈辱惨敗で露呈したW杯全員落第とハリルの限界
ピッチ上における自己解決力も発揮できなかった。動きを封じられた井手口が言う。 「監督が要求している『前、前』というのを素直にやりすぎていて、ピッチ内ではもっと自由にできればいい形はできたと思う」 国際サッカー連盟(FIFA)が定める国際Aマッチデー以外の開催となる今大会には、欧州組を招集できない。日本の場合はFIFAクラブワールドカップに出場した浦和レッズ勢も選外となった。けが人も続出したゆえに、ハリルホジッチ監督も「A代表ではない」と言及したはずだが、欧州組を呼べない条件は韓国も変わらない。 だからこそ、欧州組との間に存在する差を詰めるチャンスだった。キックオフ前の青写真が崩れたとしても、それを補って余りある知恵と勇気を見せつける跡がなかったことが寂しい。 「やっぱり欧州組がいないからと言われるのでは?」という問いに田嶋会長が首を縦に振る。 「結果的に見ると、いまおっしゃったことが当てはまってきてしまう。それが悔しくないのかと僕は思う。海外組がいなくても『俺たちでやれる』くらいの気持ちでやってほしかったし、それを示すいいチャンスであったにも関わらず、試合に負けたとか、そういうこと以前の問題なのが非常に悔しい」 半年後に迫ったロシア大会の代表入りへ向けて、今大会は国内組にとってのラストオーディションとして位置づけられていた。連勝で何人かの選手たちは評価をあげたものの、画竜点睛を欠いた惨敗で再びゼロ、あるいはマイナスになった選手もいるだろう。 「ターゲットとなったこのゲームで判断できた選手がいたかどうかは正直、難しい状況になった」 日本協会の西野朗技術委員長が力なく語った。表彰式で、そして場内一周でファンやサポーターから痛烈なブーイングも浴びせられた。2017シーズンを締めくくる一戦で見せつけられた国内組の純然たる現在地。後味の悪さとロシアへの不安だけが残った。 (文責・藤江直人/スポーツライター)