『ジョーカー2』トッド・フィリップス監督が言及する犯罪のエンタメ化 本作がアニメで始まる意味とは
前作で罪を犯したアーサーは、収容施設アーカムで謎の女性“リー”(レディー・ガガ)と出会ったことで真実の愛を知り、自身の内にあった音楽と出会う。続編のストーリーについて監督は「ホアキンとよく話していたのが、1作目からアーサーの中には音楽が存在しているということでした。前回では、それがダンスという形で肉体的に表現されていたわけですが、今回は花が咲くように歌として表に出てくる。本作では、体の内に音楽のある人が愛にめぐりあうと、こうして花開くのだということを本作では見せているつもりなんです」
歌唱シーンが重要なパートを担う本作では、リーを演じたガガの存在も重要だった。「もちろんガガは、歌手としても俳優としても素晴らしい存在であることは知っています。ただ、ビッグスターであるがゆえに、リーの心の弱さを表現できるか心配していました。しかし、実際にリーの抱える弱さを見せてくれたことには心から感心しましたね。本当に彼女は繊細な心の持ち主なんだと思います」
予告編でも描かれているように、アーサーとリーによる歌唱シーンも注目の本作。どんな歌が使用されているのかも見どころとなりそうだが、フィリップス監督は、最も気に入っている楽曲として「もし一つ選ぶならば、アーサーが『For Once in My Life』を歌う場面でしょうか」と明かす。「とても生々しくて、彼が何かを切望している感覚が出ていると思います。そこにはとてもイノセンスなものがある。(フランク・)シナトラが歌うと、ちょっと何かを切望しているようには思えない部分があるのですが、アーサーが歌うと、心からそう信じながら歌っていると感じられるので気に入っているんです」(編集部・入倉功一)