池松壮亮主演『本心』、リアル・アバターやヴァーチャル・フィギュアなど“近い将来”を描いた場面写真公開
池松壮亮が主演する映画『本心』より、リアル・アバターやヴァーチャル・フィギュア(VF)など、テクノロジーの進化の先で待ち受ける“近い将来”を切り取った場面写真が解禁された。 【写真】綾野剛や水上恒司の姿も 映画『本心』場面写真 本作は、『月』『舟を編む』の石井裕也監督が、平野啓一郎の同名長編小説を映画化したヒューマンミステリー。今からさらにデジタル化が進んだ少し先の将来を舞台に、“自由死”を望んだ母の本心を知ろうとすることをきっかけに、進化する時代に迷う青年を映し出す。主演の池松に加え、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子ら実力派俳優が集結する。 2019年に新聞連載が開始され、2021年に出版された原作小説『本心』。当時は2040年代を舞台にした未来の物語として描かれていた。しかし、現実では想像を超える速度でテクノロジーが発展していることから、それにあわせて映画の舞台設定も「今から地続きの少し先の将来(始まりは2025年)」へと前倒しされた。 現に、亡くなった人をAIで蘇らせるサービスは、アジア各国ですでにビジネス展開されており、多くの論争を生んでいる。主人公・朔也の仕事リアル・アバターも、日本ではコロナ禍以降に急速に普及したUberEATS(ウーバーイーツ)の延長線とも言える。もはや、私たちの生活に定着しつつある“リアルな日常風景”と呼べるかもしれない。 このたび、本作に登場するリアル・アバターやヴァーチャル・フィギュア(VF)など、テクノロジーの進化の先で待ち受ける“近い将来”を切り取った場面写真が一挙公開された。主人公・朔也(池松)が、依頼人に身体を貸し出しリアル・アバターとして働く姿や、VFゴーグルの向こう側に映るヴァーチャル・フィギュアの母親(田中裕子)などが写し出されたシーンは、我々がかつて想像していたようなSFの世界ではなく、日常に溶け込んだ、今の生活と地続きの設定であることに着目して欲しい。解禁となった場面写真には、そんな時代に翻弄されていく人間の姿も写し出されている。 ヴァーチャル・フィギュア(VF)とは、最先端のAI(人工知能)、AR(添加現実)の技術を組み合わせながら、仮想空間上に外見だけでなく会話もできるように再現された“人間”とその技術。これまでのライフログ、メールのやり取り、写真、動画、ネットの検索履歴などの情報をAIが集約することで生成され、日々学習を続ける。 朔也は”自由死”を望んでいた母(田中裕子)の本心を知るため、VF技術を開発した技術者・野崎将人(妻夫木)に依頼し、AIで母親を蘇らせる。最初こそ不安を抱いていたものの、まるで本当に生きているかのようなVFの母親、そしてひょんなことから同居することになった生前の母親の親友・三好彩花(三吉)と共に、他愛もない日常を取り戻していく。しかし、VFは徐々に息子の知らない母親の一面をさらけ出していくことに...。 リアル・アバターとは、自身のカメラ付きゴーグルと依頼者のヘッドセットを繋ぎ、遠く離れた依頼者の“身体”となって、要望を叶える職業。依頼人はアバターに指示を出すことで、疑似体験が可能となる。 ある事故をきっかけに昏睡状態に陥り、目覚めたころには職場がロボット化され、失業に追い込まれた朔也。そんなとき、幼馴染の岸谷(水上)の紹介で、渋々始めたのがリアル・アバターの仕事だった。病室から動けず、最期の時間を思い出の地で過ごしたいと願う若松(田中泯)からの依頼をはじめ、様々な顧客による際限のない要求、時に悪意のある理不尽な命令が、次第に朔也の心を錯乱させる。 VFやリアル・アバターのほかにも、朔也の母親のように個人が自分の死の時期を選ぶことのできる“自由死”という制度が施行されているなど、人間の存在価値が尚一層問われ、個々人の欲望がさらにエスカレートする時代を描く本作。果たしてAIが心を再現したとき、人は何を失い、何を見つけるのか。そしてAIは人間の“本心”までを再現できるのか? 映画『本心』は、11月8日より全国公開。