日本のウクライナ政策はこのままで大丈夫?トランプ再選なら窮地「ウクライナ」の行く末
■プーチンが示している交渉条件は? 仮に、交渉が行われるとして、プーチンが示している交渉条件は以下のとおりである。 (1)5つの地域(クリミア、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポロジエ)をロシア地域として認めること (2)ウクライナの中立と非核化 (3)非軍事化と非ナチ化 (4)対露制裁の撤廃 なお、さらに交渉の前提として、5つの地域から軍を撤退させること、NATO非加盟を公式に宣言することを条件としている。
これらの条件は、ヘルソンとザポロジエが増えたことをのぞけば、基本的に紛争当初のロシアの主張から変わっていない。ただし、交渉開始の時期が伸びれば伸びるほど、ウクライナにとっての条件はますます厳しくなるだろうとロシア側は言っている。具体的には、現在ロシア側が前進しているハルキウ州が思い浮かぶ。 ただ、ロシアのペスコフ大統領報道官は、和平プロセスに移行するための条件は整っていないとし、ロシアにとっての最重要事項は「特別軍事作戦」の目的を達成することであり、それを軍事的に実現することは十分可能だとの認識を示している。「特別軍事作戦」の目的とは、ウクライナの中立化及び非軍事化、非ナチ化、そしてドンバス住民の保護である。
現在のロシアのように軍事的に優勢な側が不利な交渉に応じる可能性は低い。ウクライナがプーチンの示した条件を丸呑みすることができれば話は別だが、先のとおり、ウクライナ政治は分裂しつつある。交渉の席につくのはゼレンスキーではなく、別の人物である可能性も十分ある。ロシアはゼレンスキーに代わるウクライナの代表が現れるまで、軍事行動を停止しないだろう。 トランプがそうしたプーチンの思惑や立場を考慮するかどうかは別としても、トランプ政権下でアメリカからのウクライナ支援が縮小するか失われるという見込みが固まるだけで、ゼレンスキー政権を崩壊させるのに十分な要因となるだろう。プーチン大統領からすれば、軍事行動を着々と進めながら、その時期を待てばよいのである。