小池都知事、豊洲移転は盛り土問題などの再検証次第「予断持たずに判断」
東京都の小池百合子都知事は10日夕、緊急会見を開き、築地から移転する予定の豊洲市場の土壌汚染対策で、都が実施したとしてきた盛り土が行われていなかったと公表した。「事実と違う」と都の説明を訂正し、安全性などについて専門家に再検証してもらう意向を示した。今後の移転計画は、客観的な調査結果を受けて「予断を持たずに考える」とした。 【中継録画】小池都知事が緊急会見 豊洲の汚染対策問題で報告
建物の下は「4.5メートル分が空間に」
豊洲市場はもともとガス工場の跡地で、土壌からベンゼンやシアンなどの有害物質が検出された。そのため、汚染された土壌をきれいな土と入れ替え、高さ約4.5メートルの盛り土をする対策が実施されることになり、都は計画通りに敷地全体を盛り土したと説明してきた。しかし実際には、水産卸売場棟、水産仲卸売場棟、青果棟の下で行われていないことが分かった。それぞれの棟の下は「厚いコンクリートを敷いて蓋をした。(盛り土をするはずの)4.5メートル分が空間になっている」状況だという。 「いままでの説明と事実が違う」として小池都知事は都の説明を訂正すると述べた。 この状態で安全が確保できているかについては、「専門家会議で確認する前に会議自体が解散してしまった」と小池都知事は指摘。ただ盛り土が行われていないとなると前提が変わるとして、座長を務めた環境水理学者の平田健正氏(現放送大学和歌山学習センター所長)ら専門家会議にあらためて意見を聞く考えを示した。 それと合わせて、環境政策が専門の青山学院大学教授、小島敏郎氏を長とするプロジェクトチーム(PT)を早期に立ち上げ、「セカンドピニオン的な位置づけでまったく新しい目で見てもらう」とした。 小池都知事は「土壌汚染対策にはすでに858億円が投じられている。食の安全の面からも非常に大きな問題」と懸念を表した。 情報公開のあり方にも触れ、盛り土をしていない旨の報告を専門家会議にしなかった行政の手続き的な問題と、正しい情報を伝えていなかった問題を指摘。これらがなぜ起こったかについて、「市場の担当者、当時の担当者にも聞かないといけない」と語った。 築地市場移転をめぐっては、先月末に小池都知事が、来年1月に公表される地下水モニタリング調査の結果を確認すべきだとして、移転延期を表明している。「あのままOKを出していたら大変な問題になっていた。この間を活用して、本当に安全性を確認していく」と強調。今回の問題が、移転計画自体に影響するかについては、地下水モニタリング調査や専門家会議、PTの調査結果次第として、「予断を持たずにいろんなケースを考えたい」と述べた。 今回の盛り土問題に関して、都の新市場整備部は「建物の下には配管などの地下空間の確保が必要だった。30~45センチのコンクリートの分厚い床があるので大丈夫だろうと思っていたが、行政手続が不十分だった」としている。 ■全編動画