久保に手強いライバル出現。残り7試合、レギュラー奪還なるか
ただし、器用さと技は久保の方が上で、ベッカーには勢いに任せた硬質なセンタリングしかないが、久保には仲間の走り込みに合わせたトリッキーな浮き球というオプションがある。
体格もずい分違う。
久保は173cmでベッカーは180cm、肉付きにも差があり力強さは二回りくらい違う。スピードと大きなサイズを生かしてベッカーはロングボールのターゲットとして使える。スペースに送ってベッカーを走らせ上げたセンターリングをオヤルサバルがシュートする、というような2人だけで成立するシンプルなカウンターは、今までソシエダの選択肢にはなかった。昨季はユニオン・ベルリンで12ゴール。得点力があるCF的なウインガーで、昨日の試合でもソシエダのポゼッションが長くなるとしばしばゴール前でフィニッシュに絡んでいた。
トラオレはベッカーとの方がコンビネーションをし易そうだった。
単純に相手を縦へ押し下げてくれるので、トラオレの前に大きなスペースが生まれる。開いた久保の前を走り抜けるタイミングが難しく、トラオレと久保は重なって消し合うことがしばしばあった。ベッカーは左サイドでもプレーできる。ベッカー左、久保右の選択肢もないではないが、左には好調のバレネチェアがいるので可能性は高くない。
ベッカーは久保がソシエダで出会った初めての手強いライバルだ。残り7試合、ゴールとアシストでレギュラーを奪い返すことができれば、もう一つ上の久保を見ることになる。
文:木村浩嗣
木村浩嗣