米地銀破綻の震源地、再びリスク最前線に-加州の銀行不動産融資が突出
(ブルームバーグ): リバー・シティー銀行には「中堅行でも常に大きく考える」という誇りがある。
カリフォルニア州サクラメントを拠点とする同行は、米西海岸の至る所で不動産ローンを提供し、5年間で資産が倍の約50億ドル(約7650億円)に増えた。不動産貸し付けを統括するダン・フランクリン氏によると、ロサンゼルスの集合住宅やシリコンバレーの保管施設で構成するポートフォリオは、市場の動揺に耐えられる設計という。
「われわれが行っているのは、ローリスク・ローリターンのゲームだ」とフランクリン氏は話す。
リバー・シティーの商業用不動産ローンは、急成長に伴い昨年末時点で自己資本の660%に達した。これは規制・監督当局が監視強化に値するとしてきた基準の倍を超え、カリフォルニア州のどの銀行より大きい。
昨年の地銀破綻の震源地だったカリフォルニア州は、商業用不動産という直近のトラブルスポットの最前線でもある。金融機関が昨年末に規制・監督当局に提出した「コールリポート」をブルームバーグが分析したところでは、不動産関連の債権が300%を上回ったのは登録127行の約3分の1に上り、全米の州で最も多い。
カリフォルニア州では、企業のオフィススペース離れやリモートワークからの復帰の遅れに伴うオフィス市場の混乱で、ロサンゼルスとサンフランシスコが特に大きな打撃を受けている。銀行の不動産融資の割合が相対的に大きいのは、伝統的に不動産価格が他の地域と比べ高いことも関係している。
データプロバイダーのAttomによれば、カリフォルニア州の商業用不動産の差し押さえ申請件数は、1月に前年同月比約3倍に増加した。
数十年ぶりの高金利が不動産所有者の借り換えを難しくする状況で、米地銀持ち株会社ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)は1月末に公表した昨年10-12月(第4四半期)決算で、アナリスト予想の10倍を超える貸倒引当金を計上せざるを得なくなった。