「若さだけで中身はなし」石丸ショックを利用する「小林・小泉」は自民党を変えられるか
200人が押し寄せた会見
岸田文雄首相のあとを巡って、10人以上がしのぎを削る自民党の総裁選。最初にのろしをあげたのは、小林鷹之前経済安全保障担当だった。 【写真】石破茂が語った「総理大臣という天命」…国民人気トップを独走 小林氏は8月19日、衆議院会館で記者会見し 「岸田首相が会見でのお話は、総裁選で改革を後戻りさせない、受け止めました。私自身、その責任を果たしていく覚悟。私、小林鷹之は自民党総裁選挙に覚悟を持って出馬することをここに表明します」 と決意を語った。若さを前に押し出し、200人近いマスコミが押し寄せる様は、まさに大フィーバーだ。会見で小林氏は総裁選における「公約」を配布した。 《■総裁選の戦い方 「脱・派閥選挙」をこの総裁選で徹底する。 ■目指す国づくり 世界をリードする日本 夢と希望を感じられる社会》 具体的な内容については 《1. 経済 「経済が財政に優先する」オールジャパンで日本経済を上昇気流に乗せる。国家プロジェクトとして、地方に大胆に投資。地方はもっと稼げる。東京一極集中是正にもつなげる。 2. 外交・安全保障 防衛力の強化。国家安保戦略の確実な執行、防衛生産基盤強化。 新たな外交戦略「BRIDGE」。価値観や利害対立が顕在化しつつあるグローバルサウス と欧米先進国の「架け橋」となる。 3. 「安心」と「希望」に関わる政策 社会保障:給付か負担かではなく第3の道。イノベーションを通じて、成長産業 でもある医療・介護の持続可能性を高める。 あらゆる政策を総動員して、若者の手取りを大幅に増やす 4. 憲法改正 早期の発議に向けて、最大限の熱量で取り組む》 最後は《自民党は、生まれ変わる。日本は生まれ変わる。この国をより高く、より遠くへ》と結ばれていた。
みんなボロクソに批判するが
いま小泉進次郎氏を支援しているX議員は、この公約をみて辛辣にこう語る。 「公約に具体性がないね。どうやって日本経済を上昇気流に乗せるのか。どんな国家プロジェクトで地方に投資するのか。ただ単に最初に出馬会見したくて、あわてて公約を作った、粗雑さが目立つ。総裁選なんだからもっとビジョン、政策をきちんとつめてやるべきだ。政策通の小泉氏は何倍もいい会見をしますよ。ただ若さで押してくる炎上型の小林氏は今後、ライバルになると感じます」 小林氏が前回の総裁選で推薦人として名を連ねたのは、高市早苗安全保障担当相だった。高市氏を差し置いて小林氏が出馬会見したことには、高市氏周辺からは不満が高まっている。高市氏を支援するX議員は恨み節満開だ。 「小林氏と高市氏では、保守層で意見や政策が似ている。高市氏を支援する議員を根こそぎ、かさらっていった。とりわけ、安倍派でうちを応援している議員があちらにとられてしまい、先に会見までされた」 会見の内容については、 「安全保障では、防衛力の強化というが、すでに岸田首相がやっているではないか。小林氏自身も安全保障担当相を経験しているので、十分にわかっているはず。独自色がないね。あれは公約なんて言えないよ」 という。 かつて石破茂元幹事長の石破派だった、A議員は 「『保守政治家 わが政策、わが天命』と題した政策集まで出馬前に用意していた石破氏とは大違いだ。国民、党員の信頼を得られる会見にしないと」 と疑問を呈す。 小泉進次郎氏と違って、小林氏は突然の脚光を浴びた。政治評論家の藤川晋之助氏が小林氏に重ね合わせる人物がいる。 「都知事選でも、公約がなかったがとんでもなく躍進した人がいたでしょう。そう、石丸ショックですよ」 7月の東京都知事選で150万票をとり、小池百合子知事に次ぐ、2位となった前安芸高田市長の石丸伸二氏のことである。藤川氏は選挙参謀として、辣腕を振るい石丸氏を大きく躍進させた。