三原舞依、NHK杯8位も完全復活に期待!────田口有史が語るスポーツ名場面 Vol.59
この連載では、フォトグラファーの田口有史が切り取ったスポーツの名場面を、写真とともに紹介する。第59回は、フィギュアスケートの三原舞依だ。 【写真を見る】三原舞依、樋口新葉、青木裕奈の名場面をプレイバック!(全8枚)
三原舞依、怪我を乗り越えてNHK杯8位
2023NHK杯国際フィギュアスケート(以下、NHK杯)は、三原舞依をカメラで追った。 11月24日から大阪・東和薬品ラクタブドームで行われたNHK杯は、三原にとっては今季初戦だ。11月上旬に出場を予定していた中国杯を右足首負傷で欠場していただけに、「今回も出場回避があるかもしれない」と、不安が頭を過る。大会直前まで「三原舞依」という名をXで頻繁に検索していたほどだった。 右の足首は夏頃から痛み始めたという。欠場した中国杯からわずか2週間。NHK杯に万全の状態で出場できるとは考えづらい。 とにかく無事に滑り切って欲しい……そんな思いで初日のショートプログラムを迎えた。ドームに駆けつけたファンも同じ気持ちだったのだろう。三原舞衣の紹介アナウンスが場内に流れると、この日一番の歓声に包まれた。 不安を抱えながらのGPシリーズ初戦ショートプログラム。リンクを滑りはじめた三原は、右足首に手を添えた。そして、意を決したかのように両手を大きく広げる。会場を包み込む何か、ファンの思いを全身で受け止めているかのようだ。思わず、シャッターを切った。 三原は冒頭のダブルアクセルを成功させると、続くジャンプも確実に着氷。セリーヌ・ディオンの「To Love You More」の力強い歌声も三原の背中を後押ししているのだろうか。見事なステップシークエンスで、観客を自分の世界に引き込む。ショートプログラムを4位で終えた三原は、笑顔で歓声に答えた。
昨季のGPファイナル女王の完全復活に期待
翌日のフリープログラムは、彼女らしい美しいスケーティングを披露したものの、結果は8位。ジャンプの転倒もあり逆転の表彰台には届かなかった。しかし、今できることをやり切った、そんな表情が印象に残った。 これまでも様々な困難を乗り越えながら、そのスケーティングで観客を元気にしてきた三原舞衣。次の目標は1カ月後の全日本選手権のようだ。昨季のGPファイナル女王の完全復活に期待したい。 文と写真・田口有史 編集・神谷 晃 AKIRA KAMIYA(GQ)
写真・文 田口有史