高校でたった一人のラグビー部員、合同チームで「成長」 長崎県予選
第104回全国高校ラグビーフットボール大会の長崎県予選は熱戦が続いている。県立長崎西高(長崎市)のただ一人のラグビー部員、山本央介(おうすけ)選手(17)は10月26日、長崎東、長崎南、長崎鶴洋との合同チームで1回戦に臨んだ。2点差で敗れたが、「人数が少なくても、集まって楽しくラグビーをやって強くなれる」と充実感をにじませた。【尾形有菜】 【熱戦をプレーバック! 代表校の号外】 相手は昨年の県予選で4強入りした島原工。合同チームは12点を追う前半17分、ラインアウトからモールで押し込んで、最後はNO8の山本選手がトライを決めた。合同チームはその後も追い上げたがあと一歩及ばず、10―12で敗れた。 山本選手は小1の時、兄姉がプレーしていた長崎市のラグビースクールに入った。中1の時に兄がいた長崎西高の練習に参加し、楽しそうにプレーしているのに魅力を感じて同校に進学。入学時にラグビー部員は11人いたが、上級生の引退などで山本選手が2年の昨年6月には、一人になった。 180センチ、93キロの山本選手は平日は一人で筋トレ、休日は他校に集まって合同チームで練習を続けた。3年になっても部活を続け、勉強と両立した。島原工に敗れて悔し涙を流したが、「平日はなかなか一緒に練習できない合同チームが、昨年4強の島原工にここまで戦えることを見せられた。成長できた」と話した。 1949年創部の長崎西高ラグビー部は、来年3月までに部員が入らなければ廃部になる。試合後、応援幕の前で、合同チームのみんなで「WEST(西)」の頭文字を手で作って記念撮影した。 高校ラグビーは少子化などで競技人口が減り、今年の県予選は出場12チームのうち三つが合同チーム。山本選手は「単独チームで試合に出たかった気持ちもある」としながら、「合同チームでは練習を重ねるうちに友情が深まり、作戦や戦い方の幅も広がった。良い経験になった」と振り返った。 県予選は3日、大村市の県営放虎原ラグビー場で準々決勝4試合がある。