開戦から120年「日清戦争」ってどんな戦争?
この日清戦争が現在の東アジア情勢にどう影響しているのでしょうか。 ひとつは、日清戦争後の列強による露骨な中国侵略を受けて、1905年に日本が韓国の外交権を奪って保護国化したことがあります。その後、韓国は日韓併合条約によって日本に併合され、このことは現在も日韓の間で対立の原因になっています。 もうひとつは、中国の近代化が日清戦争の敗北をきっかけに始まったということです。日清戦争後、中国では日本留学の一大ブームが起こり、1900年代の初頭には少なくとも2~3万人の中国人が日本に留学したとされています。当時の中国政府は日本の明治維新を手本にするために積極的に学生たちの日本留学を推進し、多くの知識人も相次いで日本に旅立ちました。日清戦争の敗北にショックを受け、国を強くするには日本に学び、追いつく必要があると考えたのです。また、日本もロシアに対抗するために中国と手を結ぶ必要があったとされています。留学生を受け入れれば外貨の獲得にもつながり、中国国内の親日勢力を育てることもできます。
日本をお手本とする中国の近代化は第2次世界大戦後も続き、1990年代に入ると積極的に日本企業の投資を呼び込み、工場誘致を行いました。こうした結果、いまや中国のGDP(国内総生産)は米国に次ぐ世界2位となり、軍事的にも強大な国となったわけです。日清戦争前までは「眠れる獅子」と西欧列強に畏れられていた中国にとって、この戦争の敗北はそれだけ大きなものだったのです。今日の中国の民族主義の高まり、日中間の対立も、120年前の戦争にきっかけがあったのかもしれません。 (真屋キヨシ/清談社)(動画制作:TOMOニュース)