「療育」の場を守りたい! NPO法人の挑戦 鹿児島県・鹿屋市
鹿児島テレビ
授業を終えた後に、障害のある子供たちを支援する放課後等デイサービス。 建物の老朽化で、その継続が危ぶまれている、鹿児島県鹿屋市のNPO法人「リトルオレンジズ」が子どもたちの大切な空間を守るために、ある挑戦をスタートさせました。 挑戦に込められた思いとは? 子ども「ただいま」 スタッフ「お帰りなさい」「お帰り。学校どうだった」 学校を終え、続々と訪れる子どもたち。 鹿屋市寿8丁目のこちらの建物の一角で、NPO法人「リトルオレンジズ」が運営するのは、発達障害など、様々な生きづらさを抱える子どもたちのための「療育」の場です。 鹿屋市によりますと、鹿屋市ではこうした発達支援のための「放課後等デイサービス」を51の事業所が運営。約800人が利用しているということです。 利用者 「いろいろやりたいことができるし、友達とも遊べるので楽しいです」 「声の大きさとかまわりの環境に合わせるよう動く活動を学んでいます」 リトルオレンジズでは、2018年7月からこの施設を運営していて現在、48人の子供たちが通っています。 トランポリンで自由に飛び跳ねたり… 利用者 「全てが難しい~!」 「楽しい!!」 ひとつの物事に10分間集中させて集中力をみがく時間を設けたりと、子供たち一人一人の可能性を引き出す様々な取り組みを進めています。 「リトルオレンジズ」管理者 永野紀子さん 「((いつも)元気いっぱいです。できるだけ切り替えができるように、静かにしないといけない時は静かに、楽しんで活動する時は目いっぱい楽しむ感じでやっている」 子供たちが思う存分楽しむ一方、実はこの場所にはある問題が… 建物の老朽化です。 建築から35年、さまざまな業態を経てきたこの場所ですが、特に雨漏りがひどく2023年8月の台風6号では広い範囲が水浸しとなりました。 このままでは子どもたちの安全が確保できなくなるおそれも。 NPO法人「リトルオレンジズ」日野尚子代表理事 「職員が子どもたちのためにと、少しでも安全に衛生的に過ごしてもらえるよう、一生懸命、大切に大切に使ってくれているので…」 運営を継続するため… リトルオレンジズは、建物の改築を決めました。 改築費用は約8000万円。 その費用の一部をまかなうため、2024年4月に目標金額を300万円に設定し、クラウドファンディングもスタートしました。 改築後の施設で目指すのは、“憩いの場”。 多くの人が行き交う今の場所に、カフェや会議室などを導入し障害のある人もない人も気軽に立ち寄れる場をめざします。 さらに充実させるのはハード面にとどまりません。 谷川由紀子さん 「ゆっくりでいいよ。ゆっくり書いてね」 リトルオレンジズで保育士を務める谷川由紀子さん71歳です。 開所時から運営に携わる谷川さん。 子どもたちとの関わりに役立てばと、3年前に68歳で保育士の免許を取得し、2024年3月には社会福祉士の国家試験にも合格しました。 「リトルオレンジズ」保育士・谷川由紀子さん 「社会福祉士でないとできない、いろいろな機関へのつなげ方とかあるので、そういう時に役立てばいい。限られた人、限られた場所ではなく、広く役立つようなことができたらいいと思っています」 人材育成に取り組むことで、ソフト面の充実にもつなげたい考えです。 そのクラウドファンディング。 期限は31日の午後11時まででしたが、30日、目標金額の300万円を超え、プロジェクトは見事、達成です。 NPO法人「リトルオレンジズ」 日野尚子代表理事 「(この場所で)心の中から起きるバリアフリーが起きればいいと思っている。地域の障害者、障害児にかかわらず老若男女、いろいろな人が交わる楽しい場所にしたい」 夢への一歩を踏み出したリトルオレンジズ。 その挑戦はまだ始まったばかりです。
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