元首相の別邸、小田原の「皆春荘」が大規模修復 大正時代の清浦奎吾
大正期に首相を務めた清浦奎吾(1850~1942年)の別邸として建てられ、小田原市が所有する歴史的建造物「皆春荘(かいしゅんそう)」(同市板橋)の大規模な修復作業が1月末まで行われている。特に老朽化から朽ちていた表門の屋根は建築時と同様の伝統工法でかつての美しい姿を取り戻しつつある。 皆春荘は、美しい木目の木材を使うなど工夫を凝らした建物と相模湾の眺望を楽しめる庭園が特長で、建築から100年を超えているという。修復作業は昨年3月からスタートし、昨年10月28日からは一般公開を休止して本格的に進められている。 表門の屋根は特に老朽化が進んでおり、薄い木材を重ねて屋根を覆う建築時と同様の「こけらぶき」と呼ばれる手法で修復されている。京都の寺などで使われている伝統工法で、手作業で割った木材を使う旧来の手法にすることで耐久性を高めているという。 市はこうした伝統建築の技術を知ってもらおうと、昨年11月には皆春荘でワークショップを開催し、市民ら約30人が参加。薄い板を手作業で割る体験した。
神奈川新聞社