混戦セ・リーグ、勝つのは強力リリーフのヤクルトだ!
依然として混戦の続くセ・リーグ、現在はヤクルトが首位に立っているものの4位DeNAとのゲーム差は3.5、最下位中日でもまだ7ゲーム差しかつけられてない。いったいこの混戦を抜け出すのはどのチームなのか。これだけ各チームのゲーム差が小さい状況では1勝の差が順位を大きく左右することになる。これからの終盤戦では「勝てそうな試合」を最も多く勝ちにつなげたチームが優勝に近づくことになるだろう。そこで今回は「勝てそうな試合」つまりリードして終盤を迎えた試合を各チームがいかに戦っているのかを、救援投手の起用法とその結果を検証することで明らかにし、この混戦を抜け出すチームはどこなのかを探っていきたい。 ではまずは表1をご覧いただきたい。これは6回以降のイニングでリードが3点以内の試合、つまり「勝てそうな試合」で、各チームが継投を行った際に登板した投手を登板イニングごとにまとめたものである。この表を見ていくことで、それぞれのチームの継投策の特徴が見えてきた。以下ではそれをチームごとに紹介する。
■ヤクルト:6回の登板数はリーグトップの10回、勝ちゲームで継投に入るのが最も早いチームである。ペナント序盤は徳山、その後は松岡がこの役目を担っており、場合によってはロマン、オンドルセクの2人も早いイニングで投入している。7回、8回の2イニングは主力の中継ぎである秋吉、ロマン、オンドルセクが順不同で投入され、抑えのバーネットが8回から登板したケースも3度あった。全体としては9回がしっかり固定されており、その前の2イニングを主力3投手が入れ替わりで担当、余裕があれば6回から主力を登板させることもいとわないという形になっている。結果として特定の投手に負担が偏っておらず良い形になっているといえるだろう。 ■阪神:6回から継投に入ったのはわずかに1回、開幕直後の4月16日に島本が登板したケースだけである。以降は僅差のリードであれば少なくとも先発が7回までは投げる形をとっている。その7回も継投が行われたのは10回だけ。8回は大半の試合で福原が担当し、9回は完全に呉昇桓が固定されている。接戦では先発→福原→呉昇桓、まれに高宮を挟むという以外の形はほとんどないといってよい。役割が完全に固定されている点は評価できる点であるが、裏を返せば層が薄いということでもある。仮に福原、呉昇桓のどちらかが離脱するようなことがあれば即非常事態となるのは避けられない。 ■巨人:近年チームを支えた山口、マシソン、西村という形から今季は西村が抜け沢村が加わっている。その沢村はリリーフ転向1年目ながらセーブシチュエーションで継投を行った23回のうち22回で登板、守護神の座にしっかり座っている。8回はマシソンと山口、7回はほぼ山口が投げており主力3人以外の投手が接戦の終盤に登板することはまれだ。 ■DeNA:接戦で起用した投手数は11人と断然のリーグ最多、役割が固定されている投手はほとんどいない。その中でルーキーの山崎康だけはしっかりと9回に定着し、安定しない陣容の中で唯一ポジションを確立している。そのほかの投手は取っ替え引っ替えという言葉がぴったりくる状況、8回はエレラの10回を筆頭に田中、林など6投手、7回は長田の4回を筆頭に7投手を起用と、同じポジションで使い続けられている投手がほとんどいない苦しい台所事情になっている。今後勝ち抜くためには1人でも多く信頼を寄せられる投手を見つけていくことが不可欠だろう。