「常陸」(3月6日)
「常陸」。お隣茨城県の古い国名で、奈良時代に編まれた風土記に登場する。正しい読み方が広がっているのだろうか―▼県は昨年暮れ、全国の300人を対象に調べた。「ひたち」と理解していたのは20代で4割、30代で6割だった。「じょうりく」「つねりく」と思い込んでいる向きもあった。豚肉、マガモ、伊勢エビ…。「常陸」の名を冠して県産品のブランド化を進めている折も折、美味を売り込みつつ誤解を解くという▼地域の産業を支えた宝の山は、常陸と磐城にまたがって存在した。いわき市の「常磐」炭田の名前の由来だ(福島大百科事典)。「一山一家」の市の歴史を記す地名として今も残る。果たして県外に「じょうばん」はどこまで浸透しているのか。わが県民にはおなじみの2文字だが…。隣県の調査結果を踏まえれば、気になるところだ▼復興の象徴でもある「常磐もの」。豊かな海の幸は日に日に知名度を上げている。他県で漢字が誤って呼ばれていることはあるまいが…。「旅は道連れ」とも。2県が力を合わせ、それぞれのブランドを発信し合ってはどうか。常しえは「とこしえ」と読む。13年前に被災した県民同士が、未来へ共に歩む誓いを永久[とわ]に。<2024・3・6>