【高校駅伝・女子】久保凜「たくさん成長できた」16人抜きで24年締め「建英兄ちゃん」超えも視野
<全国高校駅伝・女子>◇22日◇たけびしスタジアム京都発着(女子5区間21・0975キロ) 女子800メートルで日本記録を持つ東大阪大敬愛高の久保凜(2年)が、2区(4・0975キロ)を12分47秒で走り、区間賞を獲得した。21位でたすきを受け取った久保は、安定した走りで次々と順位を上げ、驚異の16人抜き。2度目の出場で6位入賞を果たしたチームに勢いをもたらした。9月に東京で世界選手権が開催される25年を前に、充実の走りで1年を締めくくった。 ◇ ◇ ◇ 53秒差の21位から快進撃が始まった。久保はトップだけを目指して両腕を振る。たすきを受け取ってから5分間で7人を抜く。たすきをつなぐまでには16人をごぼう抜き。何人抜いたかは把握していなかったが、チームの順位は5位に上がっていた。 「前の人を1人でも多く抜かしていく気持ちで最後まで粘る走りができた。区間新記録に届かなかった悔しさはあるけど、いい形でたすきをつなげたのは良かった」 16人抜きに満足せず、12秒足りなかった区間新記録を求めた貪欲な姿勢に大物感が漂った。 駅伝は、小学生時代に6年間プレーしたサッカー以来の団体競技。東大阪大敬愛では、野口監督の発案でチームメートが同色のたすきを着けて駅伝練習を重ねた。「他の選手が同じたすきを付けているのを見たら、みんなで頑張ろうと思えるんです」。仲間が自身の限界超えにもつながり「持久力を積むことは800メートルにもつなげられる」とトラックにも通じる力を培ってきた。 いとこでサッカー日本代表MF久保建英は尊敬するアスリートだ。「建英兄ちゃん」からはU20世界選手権に行く前に「日本とは違うけど、食べ物は大切」とアドバイスを受け、食への意識を高めた。だが、偉大ないとこを目標だけにするつもりはない。「日の丸を背負って戦っている姿は格好いいけど、負けられない。最近は自分だけで(メディアに)取り上げてもらえることも出てきて、うれしく思っています」。そう笑った16歳は“先輩超え”も視野に入れ、成長を見据えた。 今年は800メートルで日本グランプリシリーズ3連勝し、6月の日本選手権では初優勝。7月には800メートルで19年ぶりの日本新記録となる1分59秒93をマークし、全国高校総体(インターハイ)も大会新記録で連覇する充実の1年になった。「世界の舞台に行けて、日本新記録更新もできて、締めくくりの駅伝でも区間賞と入賞と、たくさん成長できました」。 25年はさらに飛躍の年とするつもりだ。9月には東京開催の世界選手権がある。「自国開催なので絶対に出場したい。標準記録を切って出場できたら、一番高い目標のメダルも狙っていきたいです」。強い思いを抱く大舞台では「久保のいとこ」の立場を逆転させているかもしれない。【永田淳】 ★久保凜(くぼ・りん) ◆生まれ 2008年(平20)1月20日、和歌山県有田川町生まれ。16歳。東大阪大敬愛高2年。 ◆陸上専念は中学から 小学生の6年間はサッカーをやっており、潮岬中学進学後に陸上を専門とした。 ◆中学で日本一 中3で初の日本一に輝いた。全国大会の800メートルで2分9秒96で優勝した。 ◆シニア大会でも日本一 24年6月の日本選手権で初出場初優勝。800メートルでの高校生女王は、16年福田翔子以来8年ぶり。 ◆日本新記録 24年7月15日に奈良で行われた長距離強化記録会で1分59秒93の日本新記録を樹立。19年ぶりに記録を更新した。 ◆表彰 19日に行われた日本陸連の年間表彰式「アスレティックス・アワード」で、新人賞を受賞した。 ◆憧れの選手 田中希実