村上春樹氏、自身作品の映画化に言及「長編はあまり望まない。短編から作ると意欲的なものに」
小説家、村上春樹氏(75)が15日、東京・新宿区の早稲田大学大隈記念講堂で行われた長編アニメ映画「めくらやなぎと眠る女」(7月26日公開)のトークイベントに出席した。 この日は、早稲田大学国際文学館で行われたイベント「初夏の文芸フェスティバル」でアニメ映画「めくらやなぎと眠る女」を特別上映し、ピエール・フォルデス監督との対談を実施。 600人の学生やファンを前に、笑顔で登壇し「こんばんわ」とあいさつ。熱い拍手にこたえながら、村上作品初のアニメ映画化について「2回見たけどとても楽しく見ることができました。僕、アニメの映画は正直見ないんです。どうしてか興味が持てず。でもこの映画はアニメと意識せず見ることができて面白かった」と感謝。続けて「古い昔に書いた短編なので何を書いたか覚えてないので、次どうなるか分からなくて。映画のためのオリジナルのシーンなのか僕のシーンなのか違いも分からない。だから面白かった」と舞台裏を明かし、笑いを誘った。 同作は村上氏の「かえるくん、東京を救う」、「バースデイ・ガール」など6編の短編を、音楽家でアニメーション作家のフォルデス監督が再構築し、長編アニメ化。すでに世界最大のアヌシー国際アニメーション映画祭の長篇部門審査員特別賞や、新潟国際アニメーション映画祭コンペティション部門グランプリに輝くなど国内外で高い評価を得ている。 これまで村上作品の「ノルウェイの森」や「ドライブ・マイ・カー」などが実写映画化されてきたが、「この映画の前に『ドライブ・マイ・カー』、『バーニング』をつくって、両方とも短編からつくった。短編を映画にしてもらうのは嫌じゃない。長編はあまり望まない。長編は映画に収めるのは大変で、引く作業になっちゃうから。そうすると結構短編から作ると意欲的なものができる」と力を込めた。