フルタイムのパート勤務、年収が150万円を超えました。「年収150万円以上になると夫の税金がどんどん高くなる」と聞いたのですが本当ですか?
Aさんはフルタイムのパート勤務、年々収入が増えていき、150万円を超えたそうです。同僚に「年収が150万円以上になると夫の税金がどんどん高くなるよ」と聞き、不安になったそうです。本当にそうなのでしょうか? ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
150万円を超えると配偶者特別控除額が段階的に減少
図表1
出典:国税庁「令和5年分 確定申告書等作成コーナー よくある質問 配偶者特別控除とは」より筆者作成(収入は給与収入のみ) 図表1でお分かりのとおり妻の年収が150万円以下までは、配偶者控除であれ、配偶者特別控除であれ、夫の年収が900万円以下であれば、38万円が夫の所得から引かれて、その結果、税金の計算の基礎となる金額が下がります。 例えば、妻の年収が150万超155万円以下の場合は、夫の配偶者特別控除は38万円から36万円です。同様に妻の年収が155万円超160万円以下になれば夫の配偶者特別控除は31万円へとさらに下がります。 引くことのできる金額(配偶者特別控除)が少なくなりますから、引き算した後の「所得税の計算の基礎」(こちらに税率をかけて最終的に納付すべき所得税を求めます)が増えていきます。
具体例で確認
夫の年収が700万円で、妻の年収が150万円ちょうどの場合と、160万円の場合で比較してみましょう。 妻の年収と配偶者特別控除の変化による、夫の税金だけを簡単に比較するために、夫婦とも給与収入のみで副業やそのほかの収入はないものとします。 夫の年収が700万円以下ですから、 給与所得控除は 「700万円×10%+110万円=180万円」 これを引いて、夫の所得は 「700万円-180万円=520万円」 となります。 ここから、各種控除(社会保険料控除、基礎控除、配偶者特別控除など)を引いて「所得税の計算の基礎」を求めます。今回は、社会保険料控除(厚生年金と健康保険)と基礎控除、配偶者特別控除だけを考慮します。 違いが出てくるのは、配偶者特別控除の額だけという仮定です。妻の年収が150万円の場合は、ぎりぎり満額の38万円の配偶者特別控除が適用になり、所得税の計算の基礎となる課税所得は329万6000円となります。 妻の年収が160万円の場合の配偶者特別控除は31万円で、所得税の計算の基礎となる課税所得は336万6000円です。 所得税の計算の基礎となる課税所得は330万円を境に、適用される税率が10%から20%に変わります。その結果、妻の年収が150万円では夫の所得税は23万2100円、160万円の場合の夫の所得税は24万5700円となります。