楽器を弾くことができれば、人生は豊かになります 久石譲
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(12月1日放送)に作曲家・指揮者・ピアニストの久石譲が出演。映画音楽の制作について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。11月27日(月)~12月1日(金)のゲストは作曲家・指揮者・ピアニストの久石譲。5日目は、音楽の持つ力について― 黒木)最初に久石さんの曲を聴いたのは『風の谷のナウシカ』なのですが、実はお嬢ちゃまが歌っているのですか? 久石)そうですね。3歳か4歳だったと思います。まだ実際に使うかわからない状態で、プロのスタジオミュージシャンを呼ぶとお金がかかるので、「娘でいいや」と思ってやってもらったのです。そうしたら風邪を引きまして……。練習の段階だったので、風邪を引いたまま録ったのですが、それがいまも流れています。 黒木)3歳か4歳でメロディーはすぐに覚えられたのですか? 久石)NHK児童合唱団で歌っていたので。 黒木)やはり音楽に携わっていらっしゃる。 久石)譜面は読めたので大丈夫でした。 黒木)いまは? 久石)歌手をやっていますよ。 黒木)やはり音楽の才能がある。最初は何の楽器を習わせたのですか? 久石)私の奥さんはピアノがとても上手いので、ピアノをやっていました。 黒木)音楽一家なのですね。
久石)だいぶスパルタでやっていたようです。 黒木)(笑)それがいつしか好きになっていくのでしょう? 久石)音楽はある程度、耐えなければならない時期があるではないですか。特にピアノは。 黒木)それで才能を見出していく方もいらっしゃるわけですから。開花させていくという。 久石)例えばバイオリンを自分の子どもに習わせますよね。途中で絶対に辛くなるし、勉学もあるので、多くの人がやめてしまいます。でも、できるだけ続けた方がいいと思う。なぜかと言うと、そのあと例えば大学に入るとします。大学にオーケストラがあったりしますよね。バイオリンが少し弾けると、第2バイオリンのうしろで弾くことができます。 黒木)少し弾くことができれば。 久石)すると人生が豊かになります。もちろんビオラでも管楽器でも全部そうですが、楽器が弾ければ、音楽に触れることができるのです。あるいは弾けなかったとしても、「若くないから」などと言って諦めずに、何か1つ楽器を定めて練習すれば、アマチュアのオーケストラはどこでも入れてくれると思います。楽しいですよ。聴いている方から参加する方になるのですから。 黒木)私は何十年もピアノを弾いていないのですが、いつもピアノは家に置いてあるのです。でも触っていません。 久石)では、久しぶりに弾いたら幸せかも知れませんよ。 黒木)そうですね。辛うじて音符は読めるので、どの曲も弾けるのですが、練習しないといけないですよね。 久石)でも自分のためですから。例えばショパンのノクターンやマズルカを少し出して、「これ、昔やったわ!」と。 黒木)今後も多くの曲をつくられるでしょうし、指揮者も音楽監督も務めるのでお忙しくなるでしょうけれど、最後に音楽の持つ力についてお聞かせ願えますか? 久石)自分が豊かになるときは、お金ではなく、音楽や絵画や文章などの表現に感動することで自分自身がステップアップする。そして、自分自身で「こういうことができるのだ」というものを持っていれば、人生が豊かになります。豊かさは自分の力でつくっていくものです。そのなかの1つに音楽があると思います。だから、どんな楽器でもいいので「やるといいな」と思います。