“副業”で木を植える「植林」は?今でも人の手でやるのが原則 業者が林業の人手不足打開に向けて模索
林業の人手不足解消に向け、長野県富士見町の木材会社「細川木材」が、季節雇用の副業として植林作業を担う「植林サポーターズ」の登録制度を始める。資格や経験が必要で重機やチェーンソーなどを使う伐採とは異なり、植林は十分な経験がなくても副業として対応できると判断した。来年春からの植林を想定しており、11日には原村で初めての養成講座を開く。 【写真】木の伐採が進められる現場。伐採後には植林が行われるが、人手不足が慢性化している
植林作業は慢性的な人手不足が深刻
細川木材によると、富士見町や周辺の山林では、戦後の高度経済成長期に植えられたカラマツなどの樹木が樹齢50~60年となり、伐採適齢期を迎えている。だが、伐採に伴う植林作業は慢性的な人手不足が深刻な課題という。
「かつては一家全員でまかなっていたが…」
植林は特別な資格を必要としない一方、作業の自動化は進んでおらず、人の手で行うのが原則。細川木材山林部長の窪田晃浩さん(39)は「かつては林業に従事する一家全員で植林をまかなっていたが、従事者の減少や核家族化で難しくなっている。代替策がなければ作業が追いつかない」と説明する。
季節雇用の副業 登録制度を新設へ
こうした事情を背景に、季節雇用の副業で新たな従事者を増やす登録制度の導入に踏み切った。ただ、植林は斜面での作業となり危険が伴うため、登録の前提となる植林サポーターズの養成講座では、林業の基本知識や安全対策などを学び、実際に植林を体験してもらう。林業に就業した後、業務内容にギャップを感じる人もいるとし、事前の体験を重視した。
養成講座を経て植林サポーターズに登録した人が実際に働く期間は、春季(4~7月)と秋季(10~11月)を想定。副業を機に林業従事者が増えることも期待しており、窪田さんは「伐採と植林を行い、山林を守ることは地域を災害から守ることにもつながる。気軽に参加してほしい」と呼びかけている。
11日の養成講座は午前9時~午後2時半で、原村内の民有林で行う。定員は10人で、参加費は4500円(昼食代や保険料、道具の貸し出しなどを含む)。12日には別途、初心者向けの植林体験の催しも企画した。参加費3千円。問い合わせは細川木材(電話0266・62・2511)へ。